![]() 下等真核生物中での組換えタンパク質の表面ディスプレイ
专利摘要:
酵母及び糸状真菌などの下等真核生物の表面上に組換えタンパク質又はタンパク質ライブラリーをディスプレイするための方法が記載されている。この方法は、ライブラリー中のタンパク質のアレイから所望の特性を有する特定のタンパク質を同定するために、下等真核生物中の組換えタンパク質のライブラリーをスクリーニングするのに有用である。前記方法は、下等真核生物中に抗体ライブラリーを構築し、スクリーニングするのに特に有用である。 公开号:JP2011514807A 申请号:JP2010549709 申请日:2009-02-20 公开日:2011-05-12 发明作者:チヤ,トンシン;ビルト,ステフアン 申请人:グライコフィ, インコーポレイテッド; IPC主号:C12N15-09
专利说明:
[0001] (発明の背景) (1)発明の分野 本発明は、酵母及び糸状真菌などの下等真核生物の表面上に組換えタンパク質又はタンパク質ライブラリーをディスプレイするための方法に関する。この方法は、ライブラリー中のタンパク質のアレイから所望の特性を有する特定のタンパク質を同定するために、下等真核生物中の組換えタンパク質のライブラリーをスクリーニングするのに有用である。前記方法は、下等真核生物中に抗体ライブラリーを構築し、スクリーニングするのに特に有用である。] 背景技術 [0002] (2)関連技術の記述 モノクローナル抗体の発見は、ヒトcDNA又は合成DNAライブラリーからの抗体の選択を誘導するために抗体を作製するためのハイブリドーマ技術から進化してきた。これは、1つには、抗体の効力を向上させるために、抗体の結合親和性及び特異性の改善を加工したいという願望から生じた。このため、コンビナトリアルライブラリースクリーニング及び選択法は、タンパク質の認識特性を変化させるための一般的なツールとなった(Ellman et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94:2779−2782(1997):Phizicky & Fields, Microbiol.Rev.59:94−123(1995))。インビトロで抗体ライブラリーを構築し、スクリーニングすることができれば、抗体抗原相互作用の強さ及び特異性に対する改善された調節が約束される。] [0003] 抗体ライブラリーを構築及びスクリーニングするために最も広く用いられている技術は、バクテリオファージ外被タンパク質へのポリペプチド融合物として目的のタンパク質を発現させ、その後、固定化された又は可溶性のビオチン化されたリガンドへの結合によってスクリーニングされるファージディスプレイである。融合物は、遺伝子IIIタンパク質(pIII)と称され、ファージの先端に3から5コピー存在する微量な外被タンパク質に対して最も一般的に作製される。このようにして構築されたファージは、表現型(ディスプレイされた抗体の結合活性)及び遺伝子型(その抗体をコードする遺伝子)の両方を1つのパッケージ中に保有するコンパクトな遺伝的「ユニット」と考えることができる。ファージディスプレイは、抗体、DNA結合タンパク質、プロテアーゼ阻害剤、短いペプチド及び酵素に対して首尾よく適用されてきた(Choo & Klug, Curr.Opin.Biotechnol.6:431−436(1995);Hoogenboom, TrendsBiotechnol.15:62−70(1997);Ladner, Trends Biotechnol.13:426−430(1995);Lowman et al., Biochemistry 30:10832−10838(1991);Markland et al., Methods Enzymol.267:28−51(1996);Matthews & Wells, Science 260:11 13−1117(1993);Wang et al., Methods Enzymol.267:52−68(1996))。] [0004] 所望の結合特性を有する抗体は、「パニング」と呼ばれる工程において、固定化された抗原への結合によって選択される。非特異的抗体を有するファージは洗浄によって除去され、次いで、結合したファージが溶出され、イー・コリの感染によって増幅される。このアプローチは、多くの抗原に対する抗体を作製するために適用されてきた。] [0005] それにも関わらず、ファージディスプレイは幾つかの欠点を有している。抗体ファージディスプレイライブラリーのパニングは強力な技術であるが、広く首尾よく適用することを制約する幾つかの固有の困難を有している。例えば、幾つかの真核生物性の分泌タンパク質及び細胞表面タンパク質は、細菌細胞中では利用できない、グリコシル化又は大規模なジスルフィド異性化などの翻訳後修飾を必要とする。さらに、ファージディスプレイの性質のため、リガンド結合タンパク質の定量的及び直接的な区別を行えない。例えば、極めて強い抗体抗原相互作用を破壊するために必要とされる溶出条件は、ファージ粒子を非感染性とするのに十分にファージ粒子を変性させるほど一般に激烈であるので(例えば、低pH、高い塩)、パニングによって、極めて高い親和性の抗体(Kd<=1nM)を単離することは困難である。さらに、固体表面への抗原の物理的固定化が必要とされるために、多くの人為的な障害が生じる。例えば、高い抗原表面密度は、真の親和性を覆い隠してしまう結合力効果を導入する。また、物理的な係留は抗原の翻訳及び回転的エントロピーを低下させて、抗体結合に際してより小さなDSをもたらし、その結果、可溶性抗原に対する結合親和性と比べて、結合親和性を過大評価し、混合及び洗浄操作における変動に由来する大きな効果が再現性の困難さをもたらす。さらに、ファージ粒子当り1つ又は2、3個の抗体が存在するに過ぎないので、大幅な確率的変動が導入され、類似の親和性を有する抗体間での区別が不可能となる。例えば、効率的な識別のために、6倍又はそれ以上の親和性の差がしばしば必要とされる(Riechmann & Weill,’93)。最後に、集団は、より急速に増殖する野生型ファージによって追い抜かれ得る。特に、pIIIはファージ生活環に直接関与しているので、幾つかの抗体又は結合された抗原の存在は結合されたファージの増幅を妨害し、又は遅延させる。] [0006] 幾つかの細菌細胞表面ディスプレイ法が開発されている(Francisco, et al., Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10444−10448(1993);Georgiou et al., Nat.Biotechnol.15:29−34(1997))。しかしながら、原核生物の発現系の使用は、時折、予測不能な発現の偏りを導入する(Knappik & Pluckthun,Prot.Eng.8:81−89(1995);Ulrich et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92:11907−11911(1995);Walker & Gilbert,J.Biol.Chem 269:28487−28493(1994))し、細菌の莢膜の多糖層は、このような系を小分子リガンドへ限定する拡散障壁を与える(Roberts,Annu.Rev.Microbiol.50:285−315(1996))。イー・コリは、高分子結合反応を立体的に妨害し得るリポ多糖層又は莢膜を有している。実際、細菌のカプセルの推定される生理的機能は、細胞を免疫系から遮蔽するために、細胞膜への高分子の拡散を制約することである(DiRienzo et al., Ann.Rev.Blochem.47:481−532,(1978))。イー・コリの周辺質は、抗体断片の折畳み及び集合のための区画として進化してきたわけではないので、イー・コリ中での抗体の発現は、通例、極めてクローン依存性であり、幾つかのクローンは良好に発現するが、他のクローンは全く発現しない。このような変動は、イー・コリの表面上に発現された抗体ライブラリー中の全ての可能な配列が概ね等しく呈示されていることに関して懸念をもたらす。さらに、ファージディスプレイは、抗体の特異性又は親和性に影響を及ぼし得るグリコシル化などの幾つかの重要な翻訳後修飾を許容しない。循環しているモノクローナル抗体の約1/3は、可変領域中に1つ又はそれ以上のN結合型グリカンを含有している。幾つかの事例において、可変領域中のこれらのN−グリカンは抗体機能において重要な役割を果たし得ると考えられている。] [0007] 酵母細胞などの真核細胞に依拠する別の選択系の開発によって、新しい治療薬の発見が促進される。抗体をディスプレイするB細胞と抗体をディスプレイする酵母細胞間の構造は類似しているので、糸状ファージを用いて得られるものより、インビボ親和性成熟の緊密な類似を与える。さらに、酵母を用いて得られる増殖培養の容易さ及び遺伝的操作のたやすさのため、巨大な集団に突然変異を導入し、素早くスクリーニングすることが可能となる。哺乳動物体内の状態と比べて、酵母培養に関して、結合及び選択の物理化学的条件は、pH、温度及びイオン強度の幅広い範囲内で変化し得、抗体操作実験における自由度がさらに増大する。コンビナトリアルタンパク質ライブラリーをスクリーニングするための酵母表面ディスプレイ系の開発が記載されている。] [0008] 米国特許第6,300,065号及び同第6,699,658号は、コンビナトリアル抗体ライブラリーをスクリーニングするための酵母表面ディスプレイ系及び抗体抗原解離速度論に基づくスクリーニングの開発を記載している。前記系は、酵母細胞表面係留タンパク質に融合された抗体又は抗体断片を発現するベクターで酵母を形質転換し、抗体又は抗体断片の変異体の多様化された集団を作製するために突然変異導入を使用し、次いで、所望の強化された表現型特性を有する抗体又は抗体断片を産生する細胞をスクリーニングし、選択することを基礎としている。米国特許第7,132,273号は、様々な酵母細胞壁係留タンパク質及び細胞壁上に外来酵素又はポリペプチドを固定化するために酵母細胞壁係留タンパク質を使用する表面発現系を開示している。] [0009] 米国出願公開2005/0142562号は、インビボでの相同的組換えを介して、抗体などのタンパク質の高度に多様なライブラリーを作製し、酵母中でのツーハイブリッド法を用いて、タンパク質、ペプチド及び核酸標的に対してこれらのライブラリーをスクリーニングするために提供された組成物、キット及び方法を開示する。標的タンパク質又はペプチドに対して検査タンパク質のライブラリーをスクリーニングするための方法は、酵母細胞中で検査タンパク質のライブラリーを発現させること(各検査タンパク質は、その配列がライブラリー内で変動する第一のポリペプチドサブユニット、第一のポリペプチドとは独立にライブラリー内でその配列が変動する第二のポリペプチドサブユニット並びに第一及び第二のポリペプチドサブユニットを連結するリンカーペプチドから構成される融合タンパク質である。)、検査タンパク質を発現する酵母細胞中で1つ又はそれ以上の標的核酸タンパク質を発現させること(標的融合タンパク質の各々は、標的ペプチド又はタンパク質を含む。)、並びにレポーター遺伝子がその中で発現されている酵母細胞を選択すること(レポーター遺伝子の発現は、標的融合タンパク質への検査融合タンパク質の結合によって活性化される。)を含む。] [0010] 興味深いのは、Flo1pアンカー系を用いたピキア・パストリス(Pichia pastoris)細胞表面ディスプレイ系の構築を開示する「Tanino et al, Biotechnol.Prog.22:989−993(2006)」;Flo1pアンカー系を用いたピキア・パストリス細胞表面ディスプレイ系中でのアデノレギュリンのディスプレイを開示する「Ren et al., Molec.Biotechnol.35:103−108(2007)」;エス・セレビシアエ(S.cerevisiae)α−アグルチニンのC末端半分に融合されたK.ラクティス黄色酵素のディスプレイを開示する「Mergler et al., Appl.Microbiol.Biotechnol.63:418−421(2004)」;α−アグルチニンを用いたピキア・パストリスの表面上へのタンパク質のディスプレイを開示する「Jacobs et al., Abstract T23, Pichia Protein expression Conference, San Diego, CA(October 8−11, 2006)」;特定のレクチンを結合するタンパク質を同定するために酵母ディスプレイ系を使用することを開示する「Ryckaert et al., Abstracts BVBMB Meeting, Vrije Universiteit Brussel, Belgium(December 2,2005)」;その後に検出手段を用いて同定することができる分泌産物を結合する捕捉部分を細胞表面に結合させることによって、細胞によって分泌される産物を基礎として細胞を同定するための方法を開示する米国特許第7,166,423号;特定の抗体を発現する細胞を同定するために、細胞の表面にプロテインA又はGを付着させるためのビオチン−アビジン系を開示する米国特許出願公開2004/0219611号;捕捉部分及びタンパク質が細胞の表面上にディスプレイされる複合体を形成する、表面捕捉部分及びタンパク質を細胞中に発現させることによって(捕捉部分とタンパク質は、細胞の表面上にディスプレイされる複合体を形成する。)、特定のタンパク質を発現する細胞を同定する方法を開示する米国特許第6,919,183号;細胞中で発現される細胞表面係留タンパク質に融合された結合タンパク質からなる融合タンパク質を用いて、酵母又は真菌の表面上にタンパク質を固定化する方法を開示する米国特許第6,114,147号である。] [0011] 米国特許第6,300,065号明細書 米国特許第6,699,658号明細書 米国特許第7,132,273号明細書 米国特許出願公開2005/0142562号明細書 米国特許第7,166,423号明細書 米国特許出願公開2004/0219611号明細書 米国特許第6,919,183号明細書 米国特許第6,114,147号明細書] 先行技術 [0012] Ellman他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 94、1997年、pp.2779−2782 Phizicky & Fields, Microbiol.Rev.59、1995年、pp.94−123 Choo & Klug, Curr.Opin.Biotechnol.6、1995年、pp.431−436 Hoogenboom, Trends Biotechnol.15、1997年、pp.62−70 Ladner, Trends Biotechnol.13、1995年、pp.426−430 Lowman他、Biochemistry 30、1991年、pp.10832−10838 Markland他、Methods Enzymol.267、1996年、pp.28−51 Matthews & Wells,Science 260:11、1993年、pp.13−1117 Wang他、Methods Enzymol.267、1996年、pp.52−68 Riechmann & Weill,’93 Francisco他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90、1993年、pp.10444−10448 Georgiou他、Nat.Biotechnol.15、1997年、pp.29−34 Knappik & Pluckthun,Prot.Eng.8、1995年、pp.81−89 Ulrich他、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 92、1995年、pp.11907−11911 Walker & Gilbert,J.Biol.Chem 269、1994年、pp.28487−28493 Roberts,Annu.Rev.Microbiol.50、1996年、pp.285−315 DiRienzo他、Ann.Rev.Blochem.47、1978年、pp.481−532 Tanino他、Biotechnol.Prog.22、2006年、pp.989−993 Ren他、Molec.Biotechnol.35、2007年、pp.103−108 Mergler他、Appl.Microbiol.Biotechnol.63、2004年、pp.418−421 Jacobs他、Abstract T23, Pichia Protein expression Conference, San Diego, CA(October 8−11, 2006) Ryckaert et al., Abstracts BVBMB Meeting, Vrije Universiteit Brussel, Belgium(December 2,2005)] 発明が解決しようとする課題 [0013] 癌の治療、腫瘍の画像化、敗血症などのヒト疾病の診断及び治療のために抗体を操作することの潜在的な応用は、広範囲にわたる。これらの応用に関しては、高い親和性(すなわち、Kd<10nM)及び高い特異性を有する抗体が極めて望ましい。これまでに論述されている伝聞的証拠及び論理的な考察は、ファージディスプレイ又は細菌ディスプレイ系はナノモル濃度を下回る親和性の抗体を一貫して作製する可能性はないことを示唆する。現在まで、酵母ディスプレイがこの間隙を埋めており、従って、商業的及び医学的に極めて重要な鍵となる技術であるべきである。] [0014] 効果的なタンパク質ディスプレイが、タンパク質の組換え産生のための、特に、モノクローナル抗体の組換え産生のための遺伝的に強化された酵母株の開発を促進する改善されたベクター及び宿主細胞株に基づいて、ピキア・パストリス(Phichia pastoris)などの酵母及び糸状真菌に対するさらなるタンパク質発現系の開発が望ましい目標である。] 課題を解決するための手段 [0015] (発明の要旨) 本発明は、検出のために接近可能な形態で、下等真核生物の表面上にタンパク質を発現及びディスプレイするための方法を提供する。この方法を蛍光活性化細胞分別(FACS)と組み合わせることによって、別の分子に対する増加した若しくは減少した親和性、触媒活性、変化した特異性又は条件的結合を有するタンパク質を発現する細胞を選択するための手段が得られる。前記方法は、酵母又は糸状真菌などの下等真核生物中に抗体ライブラリーを構築し、スクリーニングするのに特に有能である。] [0016] さらなる態様において、第一の結合部分への下等真核生物細胞表面係留タンパク質の遺伝的融合及び前記第一の結合部分に対結合することができる第二の結合部分への目的のポリペプチドの遺伝的融合の方法が提供される。遺伝的融合物を含む核酸は、宿主細胞中に形質転換される。遺伝的融合物の発現は、第一の結合部分が第二の結合部分を結合し、細胞表面に目的のタンパク質を提示する細胞表面係留タンパク質を提供する。目的のタンパク質が抗体である場合、免疫系中のB細胞による抗体の細胞表面ディスプレイを効果的に模倣することができる。] [0017] さらなる態様において、第一の及び第二の結合部分は、安定なタンパク質複合体の形成に関与しているホモ二量体又はヘテロ二量体タンパク質の配列に由来するアダプターペプチドである。特定の実施形態において、これらのペプチドは、GABAB−R1/GABA−R2受容体を含むコイルドコイルペプチドなどの二量体複合体を形成することができるコイルドコイルペプチドである。] [0018] 本発明の一態様において、第一のアダプターペプチドへN末端又はC末端が融合された宿主細胞壁結合タンパク質と及び前記第一のアダプターペプチドへ対結合することができる第二のアダプターペプチドへそのC末端が融合されている検査されるべきタンパク質とを発現する核酸で下等真核生物宿主細胞を形質転換すること;第一の標識で宿主細胞を標識すること(第一の標識は、検査されるべきタンパク質を発現する宿主細胞と会合又は結合し、及び検査されるべきタンパク質を発現していない宿主細胞と会合又は結合しない。);第一の標識が会合している宿主細胞を選択すること;並びに前記第一の標識を定量すること(前記第一の標識の高い出現は、検査されるべきタンパク質が所望の結合特性を有していることを示唆し、及び前記第一の標識の低い出現は、検査されるべきタンパク質が検査されるべきタンパク質が所望の結合特性を有していないことを示唆する。)を含む、所望の結合特性を有するタンパク質を選択するための方法が提供される。] [0019] 本発明のさらなる実施形態は、以下の工程をさらに含む。第二の標識で宿主細胞を標識すること(第二の標識は、検査されるべき及び核酸によってコードされるタンパク質に融合されたエピトープタグを発現する宿主細胞と会合又は結合し、並びに核酸によってコードされるエピトープタグを発現していない宿主細胞と会合又は結合していない。);第二の標識を定量すること(第二の標識の出現は、宿主細胞表面上の検査されるべきエピトープタグ付加タンパク質の多数の発現されたコピーを示唆する。);及び第二の標識の出現に対して標準化された第一の標識の出現を測定するために、第二の標識の定量と第一の標識の前記定量を比較すること(第二の標識の出現と比較した第一の標識の高い出現は、検査されるべきタンパク質が所望の結合特性を有することを示唆する。)。] [0020] 本発明の別のさらなる実施形態は、以下の工程を含む。検査されるべきタンパク質への結合に関して、第一の標識と競合する第三の標識で宿主細胞を標識すること;酵母細胞を第一の標識で標識すること;前記第一の標識を定量すること;宿主細胞を第二の標識で標識すること;第二の標識を定量すること;及び第二の標識の出現に対して標準化された第一の標識の出現を測定するために、第二の標識の定量と第一の標識の前記定量を比較すること(第二の標識の出現と比較した第一の標識の低い出現は、検査されるべきタンパク質が所望の結合特性を有することを示唆する。)。] [0021] 本発明の一実施形態において、第一の標識はリガンドに付着された蛍光性標識であり、及び第二の標識は抗体に付着された蛍光性標識である。標識が傾向性(fluoresceit)である場合には、定量工程は、フローサイトメトリー又は共焦点蛍光顕微鏡によって実施される。] [0022] 本発明の別の態様は、本発明の方法を実施するためのベクター、第一のアダプターペプチドに融合された細胞壁結合タンパク質をコードする核酸を含むベクター、及び第一のアダプターペプチドに対結合することができる第二のアダプターペプチドにそのC末端が融合された目的のタンパク質をコードする核酸を含むベクターを提供する。この態様のさらなる実施形態は、宿主細胞中の目的のタンパク質に融合されたポリペプチドエピトープタグを発現するための手段を含む。さらなる実施形態は、細胞壁結合タンパク質がGPI係留された細胞表面係留タンパク質、特定の実施形態において、SED1タンパク質であることを提供する。] [0023] さらに、単一の停止コドンが抗体配列をコードする核酸と第二のアダプターペプチドをコードする核酸との間に配置されているベクターを用いて、上に記載されているように実施される、所望の結合特性を有する抗体及びその断片を選択する方法が提供される。ベクターは、第二のアダプターペプチドへ対結合することができる第一のアダプターペプチドへ、そのN末端又はC末端が融合された宿主細胞壁結合タンパク質を発現する核酸を含む下等真核生物宿主細胞中に形質転換される。ベクターから転写されたmRNAの翻訳は、停止コドンを通じて翻訳の通過読み取りを増加させる条件下で実施され、これにより、第二のアダプターに融合されている抗体の産生をもたらす。第一の標識での宿主細胞の標識(第一の標識は、所望の抗体を発現する宿主細胞へ会合又は結合し、及び所望の抗体を発現していない宿主細胞に会合又は結合しない。)によって、所望の抗体を産生する宿主細胞の同定及び選択が可能となる。所望抗体を産生する宿主細胞が選択及び単離された後、宿主細胞は、停止コドンを通じて翻訳の通過読み取りの増加をもたらさない条件下で増殖される。第二の条件下で、宿主細胞は、第二のアダプターペプチドに融合されていない抗体又はその断片を産生する。] [0024] 従って、特定の態様において、(a)第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する宿主細胞を準備すること;(b)前記細胞表面係留タンパク質に融合された前記第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分に融合されたタンパク質をコードする核酸で前記宿主細胞を形質転換すること(タンパク質の変異体の多様化された集団をコードする宿主細胞の複数を作成するために、突然変異誘発が使用される。);(c)宿主細胞の表面上にディスプレイされているタンパク質へ特異的に結合し、及び前記宿主細胞の前記表面上にディスプレイされていないタンパク質に結合しない検出手段と前記宿主細胞の複数を接触させること;並びに(d)前記検出手段が結合している宿主細胞を単離すること(前記宿主細胞の前記表面上のタンパク質に結合された前記検出手段の存在は、前記タンパク質が下等真核生物細胞表面上にディスプレイ可能であることを示唆する。)を含む、下等真核生物宿主細胞表面上へのディスプレイ可能性に関してタンパク質を選択する方法が提供される。] [0025] さらなる態様において、(a)第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する宿主細胞を準備すること;(b)少なくとも1つの宿主細胞が細胞表面上に所望のタンパク質をディスプレイしていると考えられる宿主細胞の複数を作製するために、細胞表面係留タンパク質に融合された第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分にそれぞれ融合されているタンパク質をコードする核酸によって宿主細胞を形質転換すること;(c)細胞表面上にディスプレイされた所望のタンパク質に特異的に結合する検出手段と形質転換された宿主細胞を接触させること;並びに(d)所望のタンパク質をディスプレイする宿主細胞を選択するために、検出手段が結合されている宿主細胞を単離することを含む、宿主細胞の表面上に所望のタンパク質をディスプレイする組換え下等真核生物宿主細胞を選択する方法が提供される。] [0026] さらなる態様において、(a)第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する宿主細胞を準備すること;(b)抗体の前記重鎖及び軽鎖をコードする核酸で宿主細胞を形質転換すること(重鎖(HC)は前記細胞表面係留タンパク質に融合された前記第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分に融合されおり、タンパク質の変異体の多様な集団をコードする宿主細胞の複数を作製するために、突然変異誘発が使用される。);(c)宿主細胞の表面上にディスプレイされている抗体へ特異的に結合し、及び前記宿主細胞の前記表面上にディスプレイされていない抗体に結合しない検出手段と前記宿主細胞の複数を接触させること;並びに(d)前記検出手段が結合されている宿主細胞を単離すること(前記宿主細胞の前記表面上の抗体に結合された前記検出手段の存在は、前記宿主細胞が抗体を産生することを示唆する。)を含む、抗体を産生する方法が提供される。] [0027] さらなる態様において、(a)第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する宿主細胞を準備すること;(b)少なくとも1つの宿主細胞が細胞表面上に所望の抗体をディスプレイしていると考えられる宿主細胞の複数を作製するために、抗体の前記重鎖及び軽鎖(LC)をコードする核酸で宿主細胞を形質転換すること(重鎖は前記細胞表面係留タンパク質に融合された前記第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分に融合されている。);(c)細胞表面上にディスプレイされた所望の抗体に特異的に結合する検出手段と形質転換された宿主細胞を接触させること;並びに(d)所望の抗体をディスプレイする宿主細胞を選択するために、検出手段が結合されている宿主細胞を単離することを含む、宿主細胞の表面上に所望の抗体をディスプレイする組換え下等真核生物宿主細胞を選択する方法が提供される。] [0028] さらに、(a)その表面上に特異的な結合対の一員をディスプレイしている下等真核生物宿主細胞のライブラリーを準備すること、(特異的な結合対の一員は、合成ヒト抗体VHドメイン及びヒト抗体VLドメインを含む抗体又は抗体断片であり、前記ライブラリーは、(i)第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する下等真核生物宿主細胞を準備すること;(ii)特異的結合対の一員の遺伝的に多様な集団をコードする核酸配列のライブラリーを準備すること(前記特異的結合対の一員の前記遺伝的に多様な集団のVHドメインは1つ又はそれ以上のVH遺伝子ファミリーに対して偏っており、及び前記特異的結合対の一員は前記細胞表面係留タンパク質に融合された第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分を含む。);(iii)前記下等真核生物細胞中で核酸配列の前記ライブラリーを発現させること(各特異的結合対の一員は、前記下等真核生物宿主細胞の前記表面にディスプレイされている。));(b)1つ又はそれ以上の特異的結合対の一員を目的の抗原と結合させることによって、目的の抗原に対して結合特異性を有する1つ又はそれ以上の特異的結合対の一員を選択すること(このようにして選択された各特異的結合対の一員は下等真核生物宿主細胞上にディスプレイされている。)を含む、特異的結合対の一員(該特異的結合対の一員は、抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含み、及び目的の抗原に対して結合特異性を有する抗原結合部位を有する抗体又は抗体断片である。)を作製する方法が提供される。] [0029] さらなる態様において、特異的結合対の一員が合成ヒト抗体VHドメイン及び合成ヒト抗体VLドメインを含み、並びに合成ヒト抗体VHドメイン及び合成ヒト抗体VLドメインがフレームワーク領域及び超可変ループを含み、フレームワーク領域並びにVHドメイン及びVLドメインの両方の最初の2つの超可変ループが実質的にヒト生殖系列であり、並びにVHドメイン及びVLドメインが変化されたCDR3ループを有する。さらなる態様において、変化されたCDR3ループを有することに加えて、ヒト合成抗体VH及びVLドメインは他のCDRループ中に変異を含有する。さらなる態様において、それぞれのヒト合成抗体VHドメインCDRループは無作為配列のものである。さらなる態様において、ヒト合成抗体VHドメインCDRループは公知の標準構造のものであり、及び無作為配列要素を取り込む。結合対の一員は、完全サイズの若しくは完全な抗体又は一本鎖Fv抗体断片などの断片であり得る。] [0030] 先述されている方法の何れか1つのさらなる態様において、第一の結合部分は第一のアダプターペプチドであり、並びに第二の結合部分は第二のアダプターペプチドであり、第一及び第二のアダプターペプチドは特異的な対相互作用を行うことができる。特定の態様において、前記第一及び第二のアダプターペプチドは特異的な対相互作用可能なコイルドコイルペプチドである。さらなる態様において、コイルドコイルペプチドが特異的な対相互作用を行うことができるGABAB−R1及びGABAB−2R2サブユニットである。] [0031] 先述されている方法の何れか1つのさらなる態様において、細胞表面係留タンパク質はGPIタンパク質、例えば、α−アグルチニン、CWp1p、Cwp2p、Gas1p、Yap3p、Flo1p、Crh2p、Pir1p、Pir4p、Sed1p、Tip1p、Wpip、Hpwp1p、Als3p及びRbt5pからなる群から選択されるGPIタンパク質である。特定の態様において、細胞表面係留タンパク質はSed1pである。] [0032] さらなる態様において、下等真核生物は、ピキア・パストリスなどの(但し、これに限定されない。)酵母である。] [0033] 先述されている方法の何れか1つのさらなる態様において、捕捉部分及びタンパク質をコードする核酸の発現は恒常的であり、又は捕捉部分及びタンパク質をコードする核酸の発現は同時に誘導され、又は捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現は逐次に誘導される。] [0034] 先述されている方法の何れか1つのさらなる態様において、宿主細胞中の糖タンパク質のO−グリコシル化は調節される。すなわち、O−グリカンの占有及びマンノース鎖の長さは低下する。酵母などの下等真核生物宿主細胞において、O−グリコシル化は、1つ若しくはそれ以上のタンパク質O−マンノシル転移酵素(Dol−P−Man:タンパク質(Ser/Thr)マンノシル転移酵素遺伝子)(PMT)をコードする遺伝子を除去することによって、又は1つ若しくはそれ以上のPmtp阻害剤を含有する培地中で宿主を増殖させることによって調節することができる。さらなる態様において、宿主細胞はPMTをコードする遺伝子の1つ又はそれ以上の除去を含み、宿主細胞は1つ又はそれ以上のPmtp阻害剤を含む培地中で培養される。Pmtp阻害剤には、ベンジリデンチアゾリジンジオンが含まれるが、これに限定されない。使用することができるベンジリデンチアゾリジンジオンの例は、5−[[3,4−ビス(フェニルメトキシ)フェニル]メチレン]−4−オキソ−2−チオキソ−3−チアゾリジン酢酸;5−[[3−(1−フェニルエトキシ)−4−(2−フェニルエトキシ)]フェニル]メチレン」−4−オキソ−2−チオキソ−3−チアゾリジン酢酸及び5−[[3−(1−フェニル−2−ヒドロキシ)エトキシ)−4−(2−フェニルエトキシ)]フェニル]メチレン」−4−オキソ−2−チオキソ−3−チアゾリジン酢酸である。さらなる態様において、宿主細胞は、α−1,2−マンノシダーゼの分泌を誘導するシグナルペプチドを有するα−1,2−マンノシダーゼをコードする核酸をさらに含む。別の態様において、1つ又はそれ以上の内在性マンノシル転移酵素をコードする遺伝子が欠失される。この欠失は、分泌されたα−1,2−マンノシダーゼ及び/若しくはPMT阻害剤の付与と組み合わせることができ、又は分泌されたα−1,2−マンノシダーゼ及び/若しくはPMT阻害剤の付与に代えることができる。] [0035] 先述されている方法の何れか1つのさらなる態様において、宿主細胞には、β−マンノシル転移酵素遺伝子(例えば、BMT1、BMT2、BMT3及びBMT4)の1つ若しくはそれ以上を欠失若しくは崩壊させることによって(米国特許出願公開2006/0211085号参照)、又は干渉RNA、アンチセンスRNAなどを用いて、β−マンノシル転移酵素の1つ若しくはそれ以上をコードするRNAの翻訳を失わせることによって、α−マンノシダーゼ耐性N−グリカンを有する糖タンパク質を除去するように遺伝子操作された下等真核生物細胞(例えば、ピキア・パストリスなどの酵母)がさらに含まれる。] [0036] 本明細書中の方法の何れか1つのさらなる態様において、宿主細胞には、ホスホマンノシル転移酵素遺伝子PNO1及びMNN4Bの一方又は両方を欠失又は崩壊させることによって、ホスホマンノース残基を有する糖タンパク質を除去するように遺伝子操作されており(例えば、米国特許第7,198,921号及び同第7,259,007号参照)、さらなる態様において、MNN4A遺伝子を欠失若しくは崩壊させること又は干渉RNA、アンチセンスRNAなどを用いて、ホスホマンノシル転移酵素の1つ若しくはそれ以上をコードするRNAの翻訳を除去することも含み得る下等真核生物細胞(例えば、ピキア・パストリスなどの酵母)がさらに含まれ得る。] [0037] さらなる態様において、宿主細胞は、複合N−グリカン、ハイブリッドN−グリカン及び高マンノースN−グリカンからなる群から選択されるN−グリカンを主に有する糖タンパク質を産生するように遺伝的に修飾されており、複合N−グリカンは、Man3GlcNAc2、GlcNAC(1−4)Man3GlcNAc2、Gal(1−4)GlcNAc(1−4)Man3GlcNAc2及びNANA(1−4)Gal(1−4)Man3GlcNAc2からなる群から選択され、ハイブリッドN−グリカンは、Man5GlcNAc2、GlcNAcMan5GlcNAc2、GalGlcNAcMan5GlcNAc2及びNANAGalGlcNAcMan5GlcNAc2からなる群から選択され、並びに高マンノースN−グリカンは、Man6GlcNAc2、Man7GlcNAc2、Man8GlcNAc2及びMan9GlcNAc2からなる群から選択される。] [0038] 定義 本明細書中に別段の定義がなければ、本発明に関して使用される科学及び技術用語及び表現は、当業者によって一般に理解されている意味を有するものとする。さらに、文脈上別段の要求がなければ、単数の用語は複数を含み、複数の用語は単数を含むものとする。一般に、関連して使用されている命名法並びに本明細書中に記載されている生化学、酵素学、分子細胞生物学、微生物学、遺伝学並びにタンパク質及び核酸化学並びにハイブリッド形成の技術は、本分野において周知のものであり、一般的に使用されている。本発明の方法及び技術は、別段の記載がなければ、本分野において周知の慣用的方法に従って、並びに本明細書を通じて引用及び論述されている一般的な及びより具体的な様々な参考文献中に記載されているように、一般に実施される。例えば、「Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(1989); Ausubel et al, Current Protocols in Molecular Biology, Greene Publishing Associates(1992, and Supplements to 2002); Harlow and Lane, Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.(1990); Taylor and Drickamer, Introduction to Glycobiology, Oxford Univ.Press(2003); Worthington Enzyme Manual, Worthington Biochemical Corp., Freehold, NJ; Handbook of Biochemistry:Section A Proteins, VoI I,CRCPress(1976); Handbook of Biochemistry:Section A Proteins, Vol II, CRC Press(1976); Essentials of Glycobiology, Cold Spring Harbor Laboratory Press(1999)」を参照されたい。] [0039] 本明細書中に挙げられている全ての公報、特許及び他の参考文献の全体が、参照により、本明細書に組み込まれる。] [0040] 以下の用語は、別段の記載がなければ、以下の意味を有するものと理解しなければならない。] [0041] 本明細書において使用される、「N−グリカン」及び「糖型」という用語は互換的に使用され、N結合型オリゴ糖、例えば、ポリペプチドのアスパラギン残基へのアスパラギン−N−アセチルグルコサミン結合によって付着されているものを表す。N結合型糖タンパク質は、タンパク質中のアスパラギン残基のアミド窒素に連結されたN−アセチルグルコサミン残基を含有する。糖タンパク質上に見出される主な糖は、グルコース、ガラクトース、マンノース、フコース、N−アセチルガラクトサミン(GalNAc)、N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)及びシアル酸(例えば、N−アセチル−ノイラミン酸(NANA))である。糖基のプロセッシングは、小胞体の管腔内で同時翻訳的に起こり、N結合型糖タンパク質に関しては、ゴルジ装置中で継続する。] [0042] N−グリカンは、Man3GlcΝAc2(「Man」はマンノースを表し、「Glc」はグルコースを表し、及び「NAc」はN−アセチルを表し、GlcNAcはN−アセチルグルコサミンを表す。)という共通の五糖コアを有する。N−グリカンは、「トリマンノース(triammnose)コア」、「五糖コア」又は「少量マンノースコア(paucimannose core)」とも称されるMan3GlcΝAc2(「Man3」)コア構造に付加される周辺糖(例えば、GlcNAc、ガラクトース、フコース及びシアル酸)を含む分岐(アンテナ)の数に関して異なる。N−グリカンは、分岐成分(例えば、高マンノース、複合又はハイブリッド)に従って分類される。「高マンノース」型N−グリカンは、5つ又はそれ以上のマンノース残基を有する。「複合」型N−グリカンは、1,3マンノースアームに付着された少なくとも1つのGlcNAc及び「トリマンノース」コアの1,6マンノースアームに付着された少なくとも1つのGlcNAcを典型的に有する。複合N−グリカンは、シアル酸又は誘導体(例えば、「NANA」又は「NeuAc」(「Neu」はノイラミン酸を表し、及び「Ac」はアセチルを表す。)で場合によって修飾されたガラクトース(「Gal」)又はN−アセチルガラクトサミン(「GalNAc」)残基も有し得る。複合N−グリカンは、「二分岐」GlcNAc及びコアフコース(「Fuc」)を含む鎖内置換も有し得る。複合N−グリカンは、「多重アンテナ式グリカン」としばしば称される「トリマンノースコア」上に複数のアンテナも有し得る。「ハイブリッド」N−グリカンは、トリマンノースコアの1,3マンノースアームの末端上に少なくとも1つのGlcNAc及びトリマンノースコアの1,6マンノースアーム上にゼロ又はそれ以上のマモースを有する。様々なN−グリカンは、「糖型」とも称される。] [0043] 本明細書において使用される略号は、本分野で一般的に使用されるものであり、例えば、上記、糖の略号を参照されたい。他の一般的な略号には、全てペプチドN−グリコシダーゼF(EC3.2.2.18)を表す「PNGアーゼ」又は「グリカナーゼ」又は「グルコシダーゼ」が含まれる。] [0044] 「作用可能に連結された」発現調節配列という用語は、目的の遺伝子を調節するために、発現調節配列が目的の遺伝子と隣接している連結及び目的の遺伝子を調節するために、トランスに又は距離を隔てて作用する発現調節配列を表す。] [0045] 「発現調節配列」又は「制御配列」という用語は互換的に使用され、本明細書において使用される場合、それらが作用可能に連結されているコード配列の発現に影響を及ぼすために必要なポリヌクレオチド配列を表す。発現調節配列は、核酸配列の転写、転写後現象及び翻訳を調節する配列である。発現調節配列には、適切な転写開始、終結、プロモーター及びエンハンサー配列;スプライシング及びポリアデニル化シグナルなどの効率的なRNAプロセッシングシグナル;細胞質のmRNAを安定化させる配列;翻訳効率を増強する配列(例えば、リボソーム結合部位);タンパク質の安定性を増強する配列;及び所望である場合、タンパク質の分泌を増強する配列が含まれる。このような調節配列の性質は、宿主生物において異なる。原核生物では、このような調節配列には、プロモーター、リボソーム結合部位及び転写終結配列が一般に含まれる。「調節配列」という用語には、その存在が発現のために不可欠である全ての成分が最小限含まれ、その存在が有利である追加の成分、例えば、リーダー配列及び融合対配列も含まれ得る。] [0046] 本明細書において使用される「組換え宿主細胞」(「発現宿主細胞」、「発現宿主系」、「発現系」又は単に「宿主細胞」)という用語は、組換えベクターがその中に導入される細胞を表すものとする。このような用語は、特定の対象細胞のみならず、このような細胞の子孫をも表すことが意図されることを理解すべきである。突然変異又は環境的な影響の何れかのために、ある種の修飾がその後の世代で起こり得るので、このような子孫は、実際には、親細胞と同一でない場合があり得るが、本明細書中で使用される「宿主細胞」という用語の範囲内になお含まれる。組換え宿主細胞は、単離された細胞若しくは培養で増殖された細胞株であり得、又は生きた組織若しくは生物中に存在する細胞であり得る。] [0047] 「真核生物」という用語は、有核細胞又は生物を表し、昆虫細胞、植物細胞、哺乳動物細胞、動物細胞及び下等真核生物細胞を含む。] [0048] 「下等真核生物細胞」という用語には、酵母及び糸状真菌が含まれる。酵母及び糸状真菌には、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピキア・トレハロフィラ(Pichia trehalophila)、ピキア・コクラマエ(Pichia koclamae)、ピキア・メンブラナエファシエンス)(Pichia membranaefaciens)、ピキア・マイニュータ(Pichia minuta)オガタエア・マイニュータ(Ogataea minuta)、ピキア・リンデリ(Pichia lindneri))、ピキア・オプンチアエ(Pichia opuntiae)、ピキア・サーモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピキア・サリクタリア(Pichia salictaria)、ピキア・グエルキューム(Pichia guercuum)、ピキア・ピジュペリ(Pichia pijperi)、ピキア・スティプティス(Pichia stiptis)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア種(Pichia sp.)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス種(Saccharomyces sp.)、ハンセニュラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クルイベロミセス種(Kluyveromyces sp.)、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、フサリウム種(Fusarium sp.)、フサリウム・グラニューム(Fusarium gramineum)、フサリウム・ベネナツム(Fusarium venenatum)、フィスコミトレラ・パテンス(Physcomitrella paten)及びニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ピキア種、あらゆるサッカロミセス種(Saccharomyces sp.)、ハンセニュラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、あらゆるクルイベロミセス種(Kluyveromyces sp.)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、あらゆるアスペルギルス種(Aspergillus sp.)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ラクノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、あらゆるフサリウム種(Fusarium sp.)及びニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)が含まれるが、これらに限定されない。] [0049] 「特異的結合対」という用語は、天然由来の又は合成的に作製された分子の対(それぞれが、特異的結合対の一員である。)を表す。分子の対の一方は、特異的に結合するその表面上の領域又は空洞を有しており、従って、対が互いに特異的に結合するという特性を有するように、他方の分子の特定の空間的及び極性的構成と相補的と定義される。特異的な結合対の種類の例は、抗原−抗体、ビオチン−アビジン、ホルモン−ホルモン受容体、受容体−リガンド、酵素−基質、IgG−プロテインAである。] [0050] 本明細書において使用される「抗体」、「免疫グロブリン」、「免疫グロブリン分子」という用語は互換的に使用される。各免疫グロブリン分子は、その特異的抗原への結合を可能とする特有の構造を有しているが、本明細書に記載されているように、全ての免疫グロブリンは同じ総合的構造を有する。基本的な免疫グロブリン構造単位は、サブユニットの四量体を含むことが知られている。各四量体は、ポリペプチド鎖の2つの同一の対を有しており、各対は1つの「軽」鎖(LC)(約25kDa)及び1つの「重」鎖(HC)(約50から70kDa)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主として抗原認識を担う約100から110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主としてエフェクター機能を担う定常領域を規定する。軽鎖(LC)は、κ又はλの何れかとして分類される。重鎖(HC)は、γ、μ、α、δ又はεとして分類され、それぞれ、抗体のイソタイプをIgG、IgM、IgA、IgD及びIgEとして規定する。] [0051] 軽鎖及び重鎖は、可変領域及び定常領域へ細分される(全般に、Fundamental Immunology(Paul, W., ed., 2nd ed. Raven Press, N.Y., 1989、Ch.7を参照。)。各軽/重鎖対の可変領域は、抗体結合部位を形成する。従って、完全な状態の抗体は、2つの結合部位を有する。二機能性又は二重特異的抗体を除き、2つの結合部位は同じである。鎖は全て、3つの超可変領域(相補性決定領域又はCDRとも称される。)によって連結された、相対的に保存されたフレームワーク領域(FR)の同じ一般構造を示す。各対の2つの鎖から得られるCDRはフレームワークによって並置されており、特異的なエピトープへの結合を可能にする。この用語には、天然に存在する形態並びに断片及び誘導体が含まれる。この用語の範囲には、免疫グロブリン(Ig)のクラス、すなわち、IgG、IgA、IgE、IgM及びIgDが含まれる。この用語の範囲には、IgGのサブタイプ、すなわち、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4も含まれる。この用語は、最も広義に使用され、単一のモノクローナル抗体(アゴニスト及びアンタゴニスト抗体を含む。)及び複数のエピトープ又は抗原に結合する抗体組成物を含む。この用語は、具体的には、モノクローナル抗体(完全長モノクローナル抗体を含む。))、ポリクローナル抗体、多重特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)及び抗体断片(CH2ドメインのN結合型グリコシル化部位を含む重鎖免疫グロブリン定常領域のCH2ドメインの少なくとも一部を含有し又は含有するように修飾されている限り)又はこれらの変形物を包含する。イムノアドヘシン(米国特許出願公開20040136986号)、Fc融合物及び抗体様分子などの、Fc領域のみを含む分子が、この用語に含まれる。あるいは、これらの用語は、N結合型グリコシル化部位を少なくとも含有する少なくともFab領域の抗体断片を表し得る。] [0052] 「Fc」断片という用語は、CH2及びCH3ドメインを含有する抗体の「断片結晶化された」C末端領域を表す(図1)。「Fab」断片という用語は、VH、CH1、VL及びCLドメインを含有する抗体の「断片抗原結合」領域を表す(図1参照)。] 図1 [0053] 本明細書において使用される「モノクローナル抗体」(mAb)という用語は、実質的に均一な抗体の集団(すなわち、微量に存在する可能性がある天然に存在する変異を除き、集団を構成する各抗体が同一である。)から得られた抗体を表す。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して誘導される。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して誘導された異なる抗体を通例含む従来の(ポリクローナル)抗体調製物とは異なり、各mAbは抗原上の単一の決定基に対して誘導される。その特異性に加えて、ハイブリドーマ培養によって合成することが可能であり、他の免疫グロブリンによって汚染されていない点で、モノクローナル抗体は有利である。「モノクローナル」という用語は、抗体の実質的に均質な集団から取得されている抗体の性質を表し、何れかの特定の方法による抗体の産生を要求するものと解釈してはならない。例えば、本発明に従って使用されるべきモノクローナル抗体は、「Kohler et al.,(1975)Nature,256:495」によって最初に記載されたハイブリドーマ法によって作製さ得、又は組換えDNA法によって作製され得る(例えば、Cabilly他に対する米国特許第4,816,567号を参照されたい。)。] [0054] 断片が標的分子への特異的結合能を保つ限り、「抗体」又は「免疫グロブリン」という用語の範囲に属する「断片」という用語には、様々なプロテアーゼでの消化によって産生された断片、化学的切断及び/又は化学的解離によって産生された断片及び組換え的に産生された断片が含まれる。このような断片に属するのは、Fc、Fab、Fab’、Fv、F(ab’)2及び一本鎖Fv(scFv)断片である。本明細書の以下において、「免疫グロブリン」という用語には、「断片」という用語も含まれる。] [0055] 免疫グロブリンには、種間キメラ及びヒト化抗体;抗体融合物;ダイアボディ(二重特異的抗体)、一本鎖ダイアボディ及びイントラボディ(例えば、Intracellular Antibodies:Research and Disease Applications,(Marasco, ed., Springer− Verlag New York, Inc., 1998参照)などのヘテロマー抗体複合体及び抗体融合物など、配列が修飾されているが、標的分子への特異的結合能を保つ免疫グロブリン又は断片がさらに含まれる。] [0056] 「触媒性抗体」という用語は、生化学的反応を触媒することができる免疫グロブリン分子を表す。触媒性抗体は本分野において周知であり、Schochetman他に対する米国特許出願第7,205,136号;同第4,888,281号;同第5,037,750号、Barbas,III他に対する米国特許出願第5,733,757号;同第5,985,626号及び同第6,368,839号に記載されている。] [0057] 本明細書において使用される「実質的に〜からなる」という用語は、表記整数又は整数の群を含むことを表すが、表記されている整数に実質的に影響を与え又は表記されている整数を実質的に変化させる修飾又は他の整数を除外するものと理解される。N−グリカンの種に関して、表記されているN−グリカン「から実質的になる」という用語は、糖タンパク質のアスパラギン残基に直接連結されているN−アセチルグルコサミン(GlcNAc)においてそのN−グリカンがフコシル化されているかどうかを問わず、N−グリカンを含むものと理解される。] [0058] 本明細書において使用される「主に」という用語又は「主な」若しくは「主要である」などの変形語は、質量分析法、例えば、MALDI−TOFMS又はHPLCによって分析されるPNGアーゼで糖タンパク質が処理された後の全ての中性N−グリカン及び放出されたグリカンのうち最高のモルパーセント(%)を有するグリカン種を意味するものと理解される。換言すれば、「主に」という用語は、特異的な糖型などの個別の実体が他のあらゆる個別の実体より高いモルパーセントで存在するものと定義される。例えば、組成物が40モルパーセントの種A、35モルパーセントの種B及び25モルパーセントの種Cからなる場合には、組成物は主に種Aを含み、種Bが次に主要な種である。幾つかの宿主細胞は、マンノシルホスファートなどの中性N−グリカン及び帯電したN−グリカンを含む組成物を産生し得る。従って、糖タンパク質の組成物は、帯電した及び帯電していない又は中性のN−グリカンの複数を含み得る。本発明において、糖タンパク質の組成物は、主なN−グリカンが決定されている組成物中の中性のN−グリカンの全ての複数という文脈に属する。従って、本明細書において使用される「主なN−グリカン」は、組成物中の複数の中性N−グリカンの全てのうち、主なN−グリカンが特定の構造のものであることを意味する。] [0059] 本明細書において使用されるフコース又はガラクトースなどの特定の糖残基「を実質的に含まない」という用語は、糖タンパク質組成物がこのような残基を含有するN−グリカンを実質的に欠如することを表すために使用される。純度に関して表現される実質的に存在しないとは、このような糖残基を含有するN−グリカン構造の量が10%を超えない、好ましくは5%未満、より好ましくは1%未満、最も好ましくは0.5%未満である(%は、重量又はモル%である。)ことを意味する。従って、本発明の糖タンパク質組成物中のN−グリカン構造の実質的に全ては、フコース若しくはガラクトース又は両方を含まない。] [0060] 本明細書において使用される、フコース又はガラクトースなどの特定の糖残基の検出可能な量が何れの時点においてもN−グリカン構造上に存在しない場合、糖タンパク質組成物は、このような糖残基を「欠如する」又は「欠如している」。例えば、本発明の好ましい実施形態において、糖タンパク質組成物は、酵母(例えば、ピキア種、サッカロミセス種、クルイベロミセス種、アスペルギルス種)などの上に定義されている下等真核生物によって産生され、これらの生物の細胞はフコシル化されたN−グリカン構造を産生するために必要とされる酵素を有していないので、「フコースを欠如する」。従って、「フコースが実質的に存在しない」という用語は、「フコースを欠如する」という用語を包含する。しかしながら、ある時点で組成物がフコシル化されたN−グリカン構造を含有し、又は上に記載されているようなフコシル化されたN−グリカン構造の限定的な検出可能な量を含有する場合でさえ、組成物は、「実質的にフコースを含まない」ことがあり得る。] [0061] 抗体依存性細胞性細胞傷害(ADCC)及び補体依存性細胞傷害(CDC)、免疫複合体の排除(貪食作用)、B細胞による抗体産生及びIgG血清半減期などの、抗体及び抗体−抗原複合体の免疫系の細胞との相互作用及び様々な応答は、それぞれ、以下に定義されている。Daeron et al, 1997,Annu.Rev.Immunol.15:203−234;Ward and Ghetie, 1995, Therapeutic Immunol.2:77−94; Cox and Greenberg, 2001, Semin.Immunol 13:339−345;Heyman,2003,Immunol.Lett.88:157−161;及びRavetch, 1997, Curr.Opin.Immunol.9:121−125。] 図面の簡単な説明 [0062] 図1は、目的の遺伝子−コイルドコイルペプチド融合物と二量体を形成する細胞壁アンカーの候補−コイルドコイルペプチド融合タンパク質を発現するように操作された酵母細胞を図解する。2つの融合タンパク質ヘテロ二量体は、人工のジスルフィド結合によってロックされている。 図2Aは、シグナル配列、GR2コイルドコイルペプチド、Mycタグ及びGPIアンカー融合タンパク質からなる融合タンパク質発現構築物を図解する。図2Bは、SED1融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号20)を示しており、αアミラーゼシグナルペプチドには下線が付されており、GR2コイルドコイルペプチド配列は太字で記載されており、myc−タグ配列は斜字体で記載されており、エス・セレビシアエSED1配列は通常のフォントで記載されている。 図2Aは、シグナル配列、GR2コイルドコイルペプチド、Mycタグ及びGPIアンカー融合タンパク質からなる融合タンパク質発現構築物を図解する。図2Bは、SED1融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号20)を示しており、αアミラーゼシグナルペプチドには下線が付されており、GR2コイルドコイルペプチド配列は太字で記載されており、myc−タグ配列は斜字体で記載されており、エス・セレビシアエSED1配列は通常のフォントで記載されている。 図3は、AOX1プロモーターの調節下にある、ピキア・パストリスシグナル配列、mycタグ、GR2コイルドコイルペプチド及び細胞壁係留タンパク質SEDからなる融合タンパク質を発現するpGLY3033の地図を示している。 図4は、宿主の糖操作された酵母上に抗体又は抗体断片をディスプレイするためのコイルドコイルペプチドGR1に融合されたモノクローナル抗体又は抗体断片を作製するために使用することができる3つの異なる構築物を図解する。構築物AはFab断片ディスプレイフォーマットであり、構築物Bは完全長抗体ディスプレイフォーマットであり、構築物Cは抗体重鎖とコイルドコイル(GR1)の間に停止コドンを含有する。AOX1はAOX1プロモーターであり、SSはシグナルペプチドであり、Lcは軽鎖であり、TTは転写終結配列であり、Fdは重鎖可変断片であり、CH2及びCH3は重鎖定常ドメインであり、HAはヘマグルチニンであり、Hisはポリヒスチジンであり、GR1はコイルドコイルペプチドである。 図5は、Fab断片ディスプレイプラスミドpGLY3915の地図を示している。 図6は、完全長抗体ディスプレイプラスミドpGLY3941の地図を示している。 図7は、ヤギ抗ヒトH+LIgGAlexa488又は蛍光色素が連結された抗原によって、酵母細胞表面上のディスプレイされた抗体又は抗体断片の検出を示している。 図8AからJは、抗Her2Fab断片を過剰発現し、異なるGPI細胞壁係留タンパク質pGLY3015(CWP2)、pGLY3033(ScSED1)、pGLY3034(ScSED1末端切断)、pGLY3035(PpSPI1)、pGLY3036(PpGAS1)、pGLY3037(ScGAS1)、pGLY3038(ScGAS1末端切断)、pGLY3039(HpTIP)及びpGLY3040(HpTIP末端切断)に融合されたGR2コイルドコイルペプチドの発現プラスミドで形質転換された、糖操作を施されたピキア・パストリスYGLY4102の蛍光顕微鏡写真を示している。 図8AからJは、抗Her2Fab断片を過剰発現し、異なるGPI細胞壁係留タンパク質pGLY3015(CWP2)、pGLY3033(ScSED1)、pGLY3034(ScSED1末端切断)、pGLY3035(PpSPI1)、pGLY3036(PpGAS1)、pGLY3037(ScGAS1)、pGLY3038(ScGAS1末端切断)、pGLY3039(HpTIP)及びpGLY3040(HpTIP末端切断)に融合されたGR2コイルドコイルペプチドの発現プラスミドで形質転換された、糖操作を施されたピキア・パストリスYGLY4102の蛍光顕微鏡写真を示している。 図8AからJは、抗Her2Fab断片を過剰発現し、異なるGPI細胞壁係留タンパク質pGLY3015(CWP2)、pGLY3033(ScSED1)、pGLY3034(ScSED1末端切断)、pGLY3035(PpSPI1)、pGLY3036(PpGAS1)、pGLY3037(ScGAS1)、pGLY3038(ScGAS1末端切断)、pGLY3039(HpTIP)及びpGLY3040(HpTIP末端切断)に融合されたGR2コイルドコイルペプチドの発現プラスミドで形質転換された、糖操作を施されたピキア・パストリスYGLY4102の蛍光顕微鏡写真を示している。 図8AからJは、抗Her2Fab断片を過剰発現し、異なるGPI細胞壁係留タンパク質pGLY3015(CWP2)、pGLY3033(ScSED1)、pGLY3034(ScSED1末端切断)、pGLY3035(PpSPI1)、pGLY3036(PpGAS1)、pGLY3037(ScGAS1)、pGLY3038(ScGAS1末端切断)、pGLY3039(HpTIP)及びpGLY3040(HpTIP末端切断)に融合されたGR2コイルドコイルペプチドの発現プラスミドで形質転換された、糖操作を施されたピキア・パストリスYGLY4102の蛍光顕微鏡写真を示している。 図8AからJは、抗Her2Fab断片を過剰発現し、異なるGPI細胞壁係留タンパク質pGLY3015(CWP2)、pGLY3033(ScSED1)、pGLY3034(ScSED1末端切断)、pGLY3035(PpSPI1)、pGLY3036(PpGAS1)、pGLY3037(ScGAS1)、pGLY3038(ScGAS1末端切断)、pGLY3039(HpTIP)及びpGLY3040(HpTIP末端切断)に融合されたGR2コイルドコイルペプチドの発現プラスミドで形質転換された、糖操作を施されたピキア・パストリスYGLY4102の蛍光顕微鏡写真を示している。 図8AからJは、抗Her2Fab断片を過剰発現し、異なるGPI細胞壁係留タンパク質pGLY3015(CWP2)、pGLY3033(ScSED1)、pGLY3034(ScSED1末端切断)、pGLY3035(PpSPI1)、pGLY3036(PpGAS1)、pGLY3037(ScGAS1)、pGLY3038(ScGAS1末端切断)、pGLY3039(HpTIP)及びpGLY3040(HpTIP末端切断)に融合されたGR2コイルドコイルペプチドの発現プラスミドで形質転換された、糖操作を施されたピキア・パストリスYGLY4102の蛍光顕微鏡写真を示している。 図8AからJは、抗Her2Fab断片を過剰発現し、異なるGPI細胞壁係留タンパク質pGLY3015(CWP2)、pGLY3033(ScSED1)、pGLY3034(ScSED1末端切断)、pGLY3035(PpSPI1)、pGLY3036(PpGAS1)、pGLY3037(ScGAS1)、pGLY3038(ScGAS1末端切断)、pGLY3039(HpTIP)及びpGLY3040(HpTIP末端切断)に融合されたGR2コイルドコイルペプチドの発現プラスミドで形質転換された、糖操作を施されたピキア・パストリスYGLY4102の蛍光顕微鏡写真を示している。 図8AからJは、抗Her2Fab断片を過剰発現し、異なるGPI細胞壁係留タンパク質pGLY3015(CWP2)、pGLY3033(ScSED1)、pGLY3034(ScSED1末端切断)、pGLY3035(PpSPI1)、pGLY3036(PpGAS1)、pGLY3037(ScGAS1)、pGLY3038(ScGAS1末端切断)、pGLY3039(HpTIP)及びpGLY3040(HpTIP末端切断)に融合されたGR2コイルドコイルペプチドの発現プラスミドで形質転換された、糖操作を施されたピキア・パストリスYGLY4102の蛍光顕微鏡写真を示している。 図8AからJは、抗Her2Fab断片を過剰発現し、異なるGPI細胞壁係留タンパク質pGLY3015(CWP2)、pGLY3033(ScSED1)、pGLY3034(ScSED1末端切断)、pGLY3035(PpSPI1)、pGLY3036(PpGAS1)、pGLY3037(ScGAS1)、pGLY3038(ScGAS1末端切断)、pGLY3039(HpTIP)及びpGLY3040(HpTIP末端切断)に融合されたGR2コイルドコイルペプチドの発現プラスミドで形質転換された、糖操作を施されたピキア・パストリスYGLY4102の蛍光顕微鏡写真を示している。 図8AからJは、抗Her2Fab断片を過剰発現し、異なるGPI細胞壁係留タンパク質pGLY3015(CWP2)、pGLY3033(ScSED1)、pGLY3034(ScSED1末端切断)、pGLY3035(PpSPI1)、pGLY3036(PpGAS1)、pGLY3037(ScGAS1)、pGLY3038(ScGAS1末端切断)、pGLY3039(HpTIP)及びpGLY3040(HpTIP末端切断)に融合されたGR2コイルドコイルペプチドの発現プラスミドで形質転換された、糖操作を施されたピキア・パストリスYGLY4102の蛍光顕微鏡写真を示している。 図9AからCは、異なるFab断片をディスプレイする糖操作されたピキア・パストリスの蛍光顕微鏡画像を示している。図9A、ピキア・パストリスGS2.0抗DKK1Fab断片をディスプレイする細胞;図9B、SED1GPI−タンパク質細胞壁アンカーを過剰発現していない、ピキア・パストリスGS2.0抗Her2分泌Fab断片;図9C、ピキア・パストリスGS2.0抗Her2Fab断片をディスプレイする細胞。全てのこれらの細胞を抗ヒトH&LAlexa488で標識し、同じ露出時間を用いて写真を撮影した。 図9AからCは、異なるFab断片をディスプレイする糖操作されたピキア・パストリスの蛍光顕微鏡画像を示している。図9A、ピキア・パストリスGS2.0抗DKK1Fab断片をディスプレイする細胞;図9B、SED1GPI−タンパク質細胞壁アンカーを過剰発現していない、ピキア・パストリスGS2.0抗Her2分泌Fab断片;図9C、ピキア・パストリスGS2.0抗Her2Fab断片をディスプレイする細胞。全てのこれらの細胞を抗ヒトH&LAlexa488で標識し、同じ露出時間を用いて写真を撮影した。 図9AからCは、異なるFab断片をディスプレイする糖操作されたピキア・パストリスの蛍光顕微鏡画像を示している。図9A、ピキア・パストリスGS2.0抗DKK1Fab断片をディスプレイする細胞;図9B、SED1GPI−タンパク質細胞壁アンカーを過剰発現していない、ピキア・パストリスGS2.0抗Her2分泌Fab断片;図9C、ピキア・パストリスGS2.0抗Her2Fab断片をディスプレイする細胞。全てのこれらの細胞を抗ヒトH&LAlexa488で標識し、同じ露出時間を用いて写真を撮影した。 図10は、幾つかの蛍光活性化細胞分別(FACS)実験の重ね合わせを示している。抗Her2Fab断片及びα−DKK1Fab断片を発現する蛍光標識された細胞を用いて、フローサイトメトリー分析を行った。X軸:蛍光強度、Y軸:分別された事象の数。抗Her2Fab断片の蛍光平均は、抗DKK1集団の蛍光平均より有意に高い。標識されていない細胞は左の方にあり、バックグラウンド検出の領域を表す。 図11は、それぞれ、細胞表面にディスプレイされた抗Her2及び抗DKK1を発現する異なる集団比のFACS分析を示す。1:1(赤)及び1:10(緑)の抗Her2:抗DKK1の比のみが、2つの異なる集団の検出を可能とする。1:100(青)及び1:1000(茶色)のより高い比では、明瞭な亜集団は観察できない。 図12AからCは、抗Her2及び抗DKK1を発現する細胞の分布を示している。図12A:減少する蛍光の5つの領域(C1からC5)から細胞を単離した。図12Bは、抗Her2及び抗DKK1を1:1の比として混合したときの、異なる蛍光強度を有する細胞の2つの集団を示している。図12C:細胞の正体を決定するために、細胞を播種し、コロニーPCRによって分析した。 図12AからCは、抗Her2及び抗DKK1を発現する細胞の分布を示している。図12A:減少する蛍光の5つの領域(C1からC5)から細胞を単離した。図12Bは、抗Her2及び抗DKK1を1:1の比として混合したときの、異なる蛍光強度を有する細胞の2つの集団を示している。図12C:細胞の正体を決定するために、細胞を播種し、コロニーPCRによって分析した。 図12AからCは、抗Her2及び抗DKK1を発現する細胞の分布を示している。図12A:減少する蛍光の5つの領域(C1からC5)から細胞を単離した。図12Bは、抗Her2及び抗DKK1を1:1の比として混合したときの、異なる蛍光強度を有する細胞の2つの集団を示している。図12C:細胞の正体を決定するために、細胞を播種し、コロニーPCRによって分析した。 図13は、FACSの3ラウンドにわたる、抗Her2Fab断片発現細胞の濃縮を示している。 図14AからFは、通過読み取り停止コドン構築物を用いた抗Her2完全長mAbをディスプレイするピー・パストリス株YGLY6724並びに抗Her2完全長mAbをディスプレイするYGLY6722の蛍光顕微鏡及びFACS分析を示している。細胞は、ヤギ抗ヒトH&LAlexa488で標識する。G418は、停止コドンの通過読み取りを増加させる抗生物質である。YGLY6732は、バックグラウンド蛍光のレベルを測定するために使用された非ディスプレイ非標識酵母である。図14からEは、図14F中に示されているFACS分析における試料AからEの蛍光顕微鏡を示している。 図14AからFは、通過読み取り停止コドン構築物を用いた抗Her2完全長mAbをディスプレイするピー・パストリス株YGLY6724並びに抗Her2完全長mAbをディスプレイするYGLY6722の蛍光顕微鏡及びFACS分析を示している。細胞は、ヤギ抗ヒトH&LAlexa488で標識する。G418は、停止コドンの通過読み取りを増加させる抗生物質である。YGLY6732は、バックグラウンド蛍光のレベルを測定するために使用された非ディスプレイ非標識酵母である。図14からEは、図14F中に示されているFACS分析における試料AからEの蛍光顕微鏡を示している。 図14AからFは、通過読み取り停止コドン構築物を用いた抗Her2完全長mAbをディスプレイするピー・パストリス株YGLY6724並びに抗Her2完全長mAbをディスプレイするYGLY6722の蛍光顕微鏡及びFACS分析を示している。細胞は、ヤギ抗ヒトH&LAlexa488で標識する。G418は、停止コドンの通過読み取りを増加させる抗生物質である。YGLY6732は、バックグラウンド蛍光のレベルを測定するために使用された非ディスプレイ非標識酵母である。図14からEは、図14F中に示されているFACS分析における試料AからEの蛍光顕微鏡を示している。 図14AからFは、通過読み取り停止コドン構築物を用いた抗Her2完全長mAbをディスプレイするピー・パストリス株YGLY6724並びに抗Her2完全長mAbをディスプレイするYGLY6722の蛍光顕微鏡及びFACS分析を示している。細胞は、ヤギ抗ヒトH&LAlexa488で標識する。G418は、停止コドンの通過読み取りを増加させる抗生物質である。YGLY6732は、バックグラウンド蛍光のレベルを測定するために使用された非ディスプレイ非標識酵母である。図14からEは、図14F中に示されているFACS分析における試料AからEの蛍光顕微鏡を示している。 図14AからFは、通過読み取り停止コドン構築物を用いた抗Her2完全長mAbをディスプレイするピー・パストリス株YGLY6724並びに抗Her2完全長mAbをディスプレイするYGLY6722の蛍光顕微鏡及びFACS分析を示している。細胞は、ヤギ抗ヒトH&LAlexa488で標識する。G418は、停止コドンの通過読み取りを増加させる抗生物質である。YGLY6732は、バックグラウンド蛍光のレベルを測定するために使用された非ディスプレイ非標識酵母である。図14からEは、図14F中に示されているFACS分析における試料AからEの蛍光顕微鏡を示している。 図14AからFは、通過読み取り停止コドン構築物を用いた抗Her2完全長mAbをディスプレイするピー・パストリス株YGLY6724並びに抗Her2完全長mAbをディスプレイするYGLY6722の蛍光顕微鏡及びFACS分析を示している。細胞は、ヤギ抗ヒトH&LAlexa488で標識する。G418は、停止コドンの通過読み取りを増加させる抗生物質である。YGLY6732は、バックグラウンド蛍光のレベルを測定するために使用された非ディスプレイ非標識酵母である。図14からEは、図14F中に示されているFACS分析における試料AからEの蛍光顕微鏡を示している。 図15AからDは、SED1−GR2融合タンパク質及び抗CD20Fab断片(GR1に融合された重鎖)を同時発現し、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)−Alexa488で標識されたYGLY2696バックグラウンドの宿主細胞の幾つかのクローンの蛍光を示している。YGLY5149−15秒の露出(図15A)、YGLY5152−15秒の露出(図15B)、YGLY6693−30秒の露出(図15C)及びYGLY6694−30秒の露出(図15D)。 図15AからDは、SED1−GR2融合タンパク質及び抗CD20Fab断片(GR1に融合された重鎖)を同時発現し、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)−Alexa488で標識されたYGLY2696バックグラウンドの宿主細胞の幾つかのクローンの蛍光を示している。YGLY5149−15秒の露出(図15A)、YGLY5152−15秒の露出(図15B)、YGLY6693−30秒の露出(図15C)及びYGLY6694−30秒の露出(図15D)。 図15AからDは、SED1−GR2融合タンパク質及び抗CD20Fab断片(GR1に融合された重鎖)を同時発現し、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)−Alexa488で標識されたYGLY2696バックグラウンドの宿主細胞の幾つかのクローンの蛍光を示している。YGLY5149−15秒の露出(図15A)、YGLY5152−15秒の露出(図15B)、YGLY6693−30秒の露出(図15C)及びYGLY6694−30秒の露出(図15D)。 図15AからDは、SED1−GR2融合タンパク質及び抗CD20Fab断片(GR1に融合された重鎖)を同時発現し、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)−Alexa488で標識されたYGLY2696バックグラウンドの宿主細胞の幾つかのクローンの蛍光を示している。YGLY5149−15秒の露出(図15A)、YGLY5152−15秒の露出(図15B)、YGLY6693−30秒の露出(図15C)及びYGLY6694−30秒の露出(図15D)。 図16は、ヒト化されたシャペロン株YGLY2696の系統図を示している。 図17AからBは、Fab断片をディスプレイする細胞中のディスプレイされたFab断片の重鎖及び軽鎖が適切に集合されたことを示している。軽鎖及び重鎖特異的な蛍光色素連結抗体で、Fab断片をディスプレイする細胞を標識した。フローサイトメトリー分析は、ディスプレイされたFab断片重鎖の発現がディスプレイされた軽鎖発現と合致することを示しており、Fab断片の適切な集合を示唆する。図17AYGLY7762細胞(1D05);図17BYGLY7764細胞(1H23)。 図17AからBは、Fab断片をディスプレイする細胞中のディスプレイされたFab断片の重鎖及び軽鎖が適切に集合されたことを示している。軽鎖及び重鎖特異的な蛍光色素連結抗体で、Fab断片をディスプレイする細胞を標識した。フローサイトメトリー分析は、ディスプレイされたFab断片重鎖の発現がディスプレイされた軽鎖発現と合致することを示しており、Fab断片の適切な集合を示唆する。図17AYGLY7762細胞(1D05);図17BYGLY7764細胞(1H23)。 図18は、抗原標識された細胞のフローサイトメトリー分析を示している。本明細書に記載されている方法を用いて、酵母表面上に抗CD20及び抗PCSK9(1D05及び1H23)Fab断片をディスプレイした。蛍光色素が連結された抗原及び包括的抗体検出によって、細胞を標識した。パネルAは、標識の前に、1:1の比で混合した場合に、α—CD20及び抗PCSK9(1D05)がディスプレイされた細胞のプロファイルを示している。パネルBでは、高親和性(1D05)及び低親和性(1H23)抗PCSK9Fab断片を発現している細胞のフローサイトメトリープロファイルを同じ写真の中に重ね合わせた。 図19AからBは、抗原親和性に基づいて、Fab断片をディスプレイする混合細胞集団のFACS分別を示している。図19Aは、蛍光色素で標識されたPCSK−9抗原を使用した場合の、非結合Fab断片(α−CD20)をディスプレイする細胞から結合Fab断片(1D05)をディスプレイする細胞のFACS分別を示している。1:1,000、1:10,000及び1:100,000の1D05:α−CD20の比で細胞を混合し、次いで、最大2ラウンド分別した。図19Bは、蛍光色素が標識されたPCSK−9抗原を使用した場合の、低親和性Fab断片(1H23)をディスプレイする細胞から高親和性結合Fab断片(1D05)をディスプレイする細胞のFACS分別を示している。細胞は、1:10,000及び1:100,000の1D05:1H23比で混合し、2ラウンドの分別を行った。 図19AからBは、抗原親和性に基づいて、Fab断片をディスプレイする混合細胞集団のFACS分別を示している。図19Aは、蛍光色素で標識されたPCSK−9抗原を使用した場合の、非結合Fab断片(α−CD20)をディスプレイする細胞から結合Fab断片(1D05)をディスプレイする細胞のFACS分別を示している。1:1,000、1:10,000及び1:100,000の1D05:α−CD20の比で細胞を混合し、次いで、最大2ラウンド分別した。図19Bは、蛍光色素が標識されたPCSK−9抗原を使用した場合の、低親和性Fab断片(1H23)をディスプレイする細胞から高親和性結合Fab断片(1D05)をディスプレイする細胞のFACS分別を示している。細胞は、1:10,000及び1:100,000の1D05:1H23比で混合し、2ラウンドの分別を行った。 図20は、軽鎖C1κ及びGR2に融合された重鎖CH1をコードし、ピキア・パストリスのTRP2遺伝子坐へプラスミドを標的誘導するpGLY3958の地図を示している。プラスミドpGLY5108、pGLY5110及びpGLY5107を作製するために、このプラスミドを使用した。 図21は、1D05抗PCSK9Fab断片をコードするプラスミドpGLY5108の地図を示している。 図22は、1H23抗PCSK9Fab断片をコードするプラスミドpGLY5110の地図を示している。 図23は、抗CD20Genmab抗体をコードするプラスミドpGLY5107の地図を示している。] 図1 図10 図11 図12A 図12B 図12C 図13 図14A 図14F 図15A [0063] (発明の詳細な記述) 本発明は、下等真核生物宿主細胞(例えば、酵母又は糸状真菌細胞)などの真核生物宿主細胞の表面上にタンパク質の多様なライブラリーをディスプレイすることができるタンパク質ディスプレイ系を提供する。前記組成物及び方法は、発見(すなわち、スクリーニング)又は分子進化プロトコールに関して、タンパク質の集合物をディスプレイするのに特に有用である。前記方法の顕著な特徴は、目的のタンパク質が表面係留タンパク質に融合されている融合タンパク質として目的のタンパク質を発現させる必要なしに、宿主細胞の表面上に目的のタンパク質をディスプレイすることができるディスプレイ系を提供することである。] [0064] 一般に、第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する宿主細胞を準備すること;前記細胞表面係留タンパク質に融合された前記第一の結合部分と特異的に結合することができる第二の結合部分に融合されたタンパク質をコードする核酸で前記宿主細胞を形質転換すること(タンパク質の変異体の多様化された集団をコードする宿主細胞の複数を作成するために、突然変異誘発が使用される。);宿主細胞の表面上にディスプレイされているタンパク質へ特異的に結合し、及び前記宿主細胞の前記表面上にディスプレイされていないタンパク質に結合しない検出手段と前記宿主細胞の複数を接触させること;並びに前記検出手段が結合している宿主細胞を単離すること(前記宿主細胞の前記表面上のタンパク質に結合された前記検出手段が存在することは、前記タンパク質が下等真核生物細胞表面上にディスプレイ可能であることを示唆する。)を含む、下等真核生物細胞表面上へのディスプレイ可能性に関してタンパク質を選択する方法が提供される。] [0065] 第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する宿主細胞を準備すること;少なくとも1つの宿主細胞が細胞表面上に所望のタンパク質をディスプレイしていると考えられる宿主細胞の複数を作製するために、細胞表面係留タンパク質に融合された第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分に融合されているタンパク質をコードする核酸によって宿主細胞を形質転換すること;細胞表面上にディスプレイされた所望のタンパク質に特異的に結合する検出手段と形質転換された宿主細胞を接触させること;並びに所望のタンパク質をディスプレイする宿主細胞を選択するために、検出手段が結合されている宿主細胞を単離することを含む、宿主細胞の表面上に所望のタンパク質をディスプレイする組換え下等真核生物宿主細胞を選択する方法がさらに提供される。] [0066] 従って、図1に示されているように、前記系は少なくとも2つの成分を含む。第一の成分は、特定の実施形態において、第一の結合部分(特定の態様において、第二のアダプターペプチドへ対結合することができるアダプターペプチドを含む。)に融合された宿主細胞の表面に結合し又は組み込むことができる細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現するヘルパーベクターである。第一のアダプターペプチドが第二のアダプターペプチドと相互作用することができるように、第一の結合部分又はアダプターペプチドは、細胞外環境に露出された細胞表面係留タンパク質の末端に位置している。第二の成分は、目的のタンパク質を発現するベクター又は目的のタンパク質が選択されるべきそのライブラリー(例えば、抗体又はその断片を発現するベクターのライブラリー)である。ベクターは、第二のアダプターペプチドが目的のタンパク質のN末端又はC末端に融合されている融合タンパク質として、目的のタンパク質を発現する。] 図1 [0067] 両成分は、相同的組換えによって、宿主細胞のゲノム中に核酸を組み込むベクター中に提供することができる。相同的組換えは、二重クロスオーバー又は単一クロスオーバー相同的組換えであり得る。ロールイン単一クロスオーバー相同的組換えは、「Nett et al., Yeast 22:295−304(2005)」中に記載されている。各成分は、ゲノム中の同じ遺伝子坐又はゲノム中の別個の遺伝子坐に組み込まれ得る。あるいは、一方又は両方の成分は、宿主細胞中に一過性に発現させることができる。] [0068] 前記方法は、所望の親和性又は結合力の抗体又はその断片(例えば、Fab断片)、触媒性抗体を含む特定の酵素活性又は基質特異性を有する酵素、特定のリガンドに対する特定の特異性を有する受容体及び異種タンパク質に融合された抗体のFc領域を含む融合タンパク質を含む(但し、これに限定されない。)融合タンパク質などの(但し、これらに限定されない。)所望の結合特性を有するタンパク質の選択を可能にする。一般に、前記方法は、そのN末端又はC末端が第一の結合部分(第二のアダプターペプチドへの対結合を可能にするアダプターペプチドなど)に融合された宿主細胞壁結合タンパク質を発現する第一の核酸とそのN末端又はC末端が第二の結合部分(第一のアダプターペプチドへの対結合を可能にするアダプターペプチドなど)に融合された検査されるべきタンパク質を発現する第二の核酸とで下等真核生物宿主細胞を形質転換することを含む。第一及び第二の核酸は、同じプロモーター又は別個に誘導可能な異なるプロモーターへ作用可能に連結され得る。好ましくは、目的のタンパク質は、細胞表面への分泌経路を通じた融合タンパク質のシャトルを促進する細胞性シグナルペプチドへ融合される。第一の核酸の発現は、細胞壁結合融合タンパク質の産生をもたらし、細胞壁結合融合タンパク質は細胞表面に輸送され、次いで、細胞外環境へ露出された第一の結合部分によって、細胞の表面に結合する。第二の核酸の発現は、目的のタンパク質の融合タンパク質の産生をもたらし、融合タンパク質は、分泌経路を通じて輸送され、細胞から分泌される。しかしながら、目的のタンパク質に融合された第二の結合部分は細胞壁結合タンパク質に融合された第一の結合部分との特異的相互作用を形成するので、目的のタンパク質の融合タンパク質は分泌されるにつれて、細胞表面上に保持される。] [0069] 抗体及びFab断片を含む(但し、これらに限定されない。)特異的結合対の特定の一員を産生する細胞を同定及び選択するためのライブラリー法がさらに提供される。従って、さらなる態様において、特異的結合対の一員(該特異的結合対の一員は、抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含み、及び目的の抗原に対して結合特異性を有する抗原結合部位を有する抗体又は抗体断片である。)であるタンパク質を作製する方法。この方法は、その表面上に特異的な結合対の一員をディスプレイしている下等真生物宿主細胞のライブラリーを準備すること(特異的な結合対の一員は合成ヒト抗体VHドメイン及びヒト抗体VLドメインを含む抗体又は抗体断片である。)を含む。ライブラリーは、第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する下等真核生物宿主細胞を準備し、及び特異的な結合対の一員の遺伝的に多様な集団をコードする核酸配列のライブラリーを準備することによって作製され、特異的結合対の一員の遺伝的に多様な集団のVHドメインは1つ又はそれ以上のVH遺伝子ファミリーに関して偏っており、特異的な結合対の一員は細胞表面係留タンパク質に融合された第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分を含む。核酸配列の前記ライブラリーは、各特異的結合対の一員が前記下等真核生物細胞の前記表面にディスプレイされるように、下等真核生物細胞中で発現される。次いで、目的の抗原に対する結合特異性を有する1つ又はそれ以上の特異的結合対の一員を産生する細胞は、1つ又はそれ以上の特異的結合対の一員を目的の抗原と結合させることによって選択される。] [0070] さらなる態様において、特異的結合対の一員は、合成ヒト抗体VHドメイン及び合成ヒト抗体VLドメインを含み、並びに前記合成ヒト抗体VHドメイン及び合成ヒト抗体VLドメインは、フレームワーク領域及び超可変ループを含み、フレームワーク領域及びVHドメイン及びVLドメインの両者の最初の2つの超過変ループは実質的にヒト生殖系列であり、並びにVHドメイン及びVLドメインは変化されたCDR3ループを有する。さらなる態様において、変化されたCDR3ループを有することに加えて、ヒト合成抗体VH及びVLドメインは他のCDRループ中に変異を含有する。さらなる態様において、各ヒト合成抗体VHドメインCDRループは無作為な配列のものである。さらなる態様において、ヒト合成抗体VHドメインCDRループは、公知の標準構造のものであり、無作為な配列要素を取り込む。結合対の一員は完全なサイズの若しくは完全な抗体又は一本鎖Fv抗体断片などの断片であり得る。] [0071] 目的の所望のタンパク質を発現する宿主細胞の検出は、目的のタンパク質と会合又は結合し及び目的のタンパク質を発現していない宿主細胞とは会合又は結合しない第一の標識で宿主細胞を標識することによって達成することができる。例えば、目的のタンパク質が抗体である場合には、第一の標識は目的の抗体によって特異的に認識される抗原であり得る。第一の標識と会合している宿主細胞を選択し、宿主細胞と会合した第一の標識の量を定量する。第一の標識が多量に出現することは、目的のタンパク質が望ましい結合特性を有することを示唆し、第一の標識が少量出現することは、目的のタンパク質が望ましい結合特性を有さないことを示唆する。] [0072] さらなる態様は、上記宿主細胞を第二の標識で標識する工程を含み、第二の標識は目的のタンパク質に融合されたエピトープタグを発現する宿主細胞と会合又は結合し、及びエピトープタグを発現しない宿主細胞と会合又は結合しない。宿主細胞と会合した第二の標識の量を定量する。宿主細胞と会合した第二の標識の量は、エピトープタグが付加された目的のタンパク質の発現された多数のコピーが宿主細胞表面上に多数存在することを示唆し、第一の標識の定量を第二の標識の定量と比較することによって、第二の標識の量に対して標準化された第一の標識の量を可能にし、第二の標識の発生に比べて高い第一の標識の出現は検査されるべきタンパク質が望ましい結合特性を有することを示唆している。] [0073] 別の態様は、目的のタンパク質への結合に関して、第一の標識と競合する第三の標識で上記宿主細胞を標識する工程を含む。この態様において、宿主細胞は第一の標識で標識され、宿主細胞と会合した第一の標識の量を定量する。次いで、宿主細胞を第二の標識で標識し、宿主細胞と会合した第二の標識の量を定量する。第二の標識の出現に対して標準化された第一の標識の出現を測定するために、第二の標識の定量と第一の標識の前記定量の比較が行われ、第二の標識の出現と比較した第一の標識の低い出現は、目的のタンパク質が所望の結合特性を有することを示唆する。] [0074] さらなる態様において、第一の標識は目的のタンパク質に対して特異的なリガンドに付着された蛍光標識であり、第二の標識は目的のタンパク質に対して特異的な抗体に付着された蛍光標識である。標識が蛍光性である場合には、定量工程は、フローサイトメトリー又は共焦点蛍光顕微鏡によって実施される。さらなる態様において、第一の標識は目的のタンパク質に対して特異的なリガンドに付着された蛍光標識であり、目的のタンパク質を産生しない宿主細胞から目的のタンパク質を発現する宿主を分離するために、蛍光活性化細胞分別(FACS)が使用される。] [0075] さらに、単一の停止コドンが抗体配列をコードする核酸と第二のアダプターペプチドをコードする核酸との間に配置されているベクターを用いて、上に記載されているように実施される、所望の結合特性を有する抗体及びその断片を選択する方法が提供される。ベクターは、第二のアダプターペプチドへ対結合することができる第一アダプターペプチドへ、そのN末端又はC末端が融合された宿主細胞壁結合タンパク質を発現する核酸を含む下等真核生物宿主細胞中に形質転換される。ベクターによってコードされるmRNAの翻訳は、停止コドンを通過する翻訳の読み取りを増加させる条件下で実施され、これにより、第二のアダプターに融合されている抗体を産生する。第一の標識での宿主細胞の標識(第一の標識は、所望の抗体を発現する宿主細胞へ会合又は結合し、及び所望の抗体を発現していない宿主細胞に会合又は結合しない。)によって、所望の抗体を産生する宿主細胞の同定及び選択が可能となる。所望抗体を産生する宿主細胞が選択及び単離された後、宿主細胞は、停止コドンを通過した翻訳の読み取りの増加をもたらす条件下で増殖される。第二の条件下で、宿主細胞は、第二のアダプターペプチドに融合されていない抗体又はその断片を産生する。] [0076] 図4は、宿主細胞中に導入され、適切な条件下で宿主細胞が増殖されたときに、宿主細胞は、所望の完全長抗体を選択するために重鎖に融合された第二のアダプターペプチドを含む完全長抗体を産生することができるように、酵母などの下等真核生物中で使用するために設計された発現カセットCを示している。しかしながら、産生条件下において、構築物は、重鎖が第二のアダプターペプチドに融合されていない抗体の産生を可能にする。従って、発現カセットCは、第二のアダプターペプチドをコードする核酸を除去するために、抗体をコードする核酸を再度クローニングする必要性をなくす。発現カセットCでは、第二のアダプターペプチドのN末端へ、C末端が融合された重鎖を含む融合タンパク質をコードする第二のORFは、重鎖をコードする核酸配列の末端と停止コドンの通過読み取りが誘導性である第二のアダプターペプチドをコードする核酸との間に単一の停止コドンをさらに含む。多くの条件下で、構築物から転写されたmRNAの翻訳は、主として、単一の停止コドンにおいて終結し、従って、第二のアダプターペプチドに融合されていない完全長抗体の産生をもたらす。しかしながら、抗生物質G418の存在下では、停止コドンを通過する翻訳の読み取りが増加する。しかしながら、抗生物質の存在下でさえ、GR1コイルドコイルペプチドに融合されていない完全長抗体の発現が主な種である。一般に、翻訳の誤りは無作為なアミノ酸の挿入をもたらす。この割合的な通過読み取りは、完全長抗体の発現可能性を反映し得る。分泌された完全長抗体及び細胞表面に捕捉された完全長抗体融合物の両方をモニターすることによって、高産生宿主細胞に関してスクリーニングを行うことができる。従って、抗生物質の存在下において、完全長抗体の集団は、重鎖−アダプターペプチド融合タンパク質を含む。従って、所望の抗体に関して抗体のライブラリーをスクリーニングする場合、抗生物質の存在下で宿主細胞を増殖させる。重鎖−アダプターペプチド融合タンパク質を含む完全長抗体は、細胞の表面上の細胞表面係留タンパク質に融合された第一のアダプターペプチドへのヘテロ二量体化によって細胞表面に捕捉される。次いで、適切な検出手段によって、所望の抗体を検出することができる。しかしながら、重鎖がアダプターペプチドに融合されていない完全長抗体を作製する場合、所望の抗体を産生することが同定された宿主細胞を抗生物質の不存在下で増殖させる。発現カセットCの後ろの前置物(premise)は、GR1コイルドコイルペプチドに融合されていないFab断片を産生するように適合させることができ、酵素及び受容体タンパク質などの他のタンパク質種とともに使用するように適合させることができる。] 図4 [0077] I.アダプターの一般的な特徴 ディスプレイ系の構築におけるさらなる検討事項は、対相互作用をすることができる2つのアダプターをコードするアダプターペプチドの対を選択することである。アダプターペプチドの一方をコードする核酸はベクターによって担持される目的の外来タンパク質をコードする核酸とインフレームに挿入されるのに対して、他方をコードする核酸は、宿主細胞の外壁又は膜に付着することができる細胞表面係留タンパク質をコードする核酸とインフレームに融合される。「対相互作用」とは、2つのアダプターが相互作用し、互いに結合して、安定な複合体を形成することができることを意味する。安定な複合体は、宿主細胞の外側表面上に存在する目的のタンパク質の検出を可能にするのに十分に長期間存続しなければならない。複合体又は二量体は、形成の時点とディスプレイされたポリペプチドを検出する時点の間に存在し又は導入されるいかなる条件にも耐えることができなければならず、これらの条件は、実施されているアッセイ又は反応の関数である。安定な複合体又は二量体は、この定義の他の要件を満たす限り、不可逆的又は可逆的であり得る。従って、一過性の複合体又は二量体が反応混合物中で形成し得るが、自発的に解離し、遺伝子パッケージの外側表面上にディスプレイされた検出可能なポリペプチドを生成しない場合には、一過性の複合体又は二量体は安定な複合体には当らない。] [0078] 第一及び第二のアダプター間での対相互作用は、共有又は非共有相互作用であり得る。非共有相互作用は、共有結合の形成をもたらさない全ての退出する安定な結合を包含する。非共有的相互作用の非限定的な例には、静電的結合、水素結合、ファンデルワールス力、両親媒性ペプチドの立体的な噛み合いが含まれる。これに対して、共有的相互作用は、2つのシステイン残基間のジスルフィド結合、2つの炭素含有分子間のC−C結合、炭素とそれぞれ酸素又は水素含有分子間のC−O又はC−H及び酸素とホスファート含有分子間のO−P結合などの(但し、これらに限定されない。)共有結合の形成をもたらす。] [0079] ディスプレイ系の発現及びヘルパーベクターを構築するために利用可能なアダプターペプチドは、様々な源に由来し得る。一般に、安定な多量体の形成に関与するあらゆるタンパク質配列が候補アダプターペプチドである。従って、これらのペプチドは、あらゆるホモ多量体又はヘテロ多量体タンパク質複合体に由来し得る。代表的なホモ多量体タンパク質は、ホモ二量体受容体(例えば、血小板由来増殖因子ホモ二量体BB(PDGF)、ホモ二量体転写因子(例えば、Maxホモ二量体、NF−κBp65(RelA)ホモ二量体)及び増殖因子(例えば、ニューロトロフィンホモ二量体)である。ヘテロ多量体タンパク質の非限定的な例は、プロテインキナーゼとSH2ドメイン含有タンパク質(Cantley et al., Cell 72:767−778(1993); Cantley et al., J. Biol.Chem.270:26029−26032(1995))、ヘテロ二量体転写因子とヘテロ二量体受容体の複合体である。] [0080] 現在使用されているヘテロ二量体転写因子は、α−Pal/Max複合体及びHox/Pbx複合体である。Hoxは、胚形成の間に前方−後方軸のパターン形成に関与する転写因子の巨大なファミリーを占める。Hoxタンパク質は、保存された3つのαヘリックスホメオドメインを有するDNAを結合する。特異的なDNA配列に結合するために、Hoxタンパク質はPbxホメオドメインなどのヘテロ−パートナーの存在を必要とする。Wolberger他は、Hox−Pbx複合体の形成がどのようにして起こり、この複合体がDNAにどのように結合するかを理解するために、HoxB1−Pbx1−DNA三元複合体の2.35オングストローム結晶構造を解明した。構造は、各タンパク質のホメオドメインがDNAの反対側上の隣接する認識配列に結合することを示している。ヘテロ二量体化は、HoxB1のホメオドメインに対してN末端の6アミノ酸ヘキサペプチドとヘリックス3とヘリックス1及び2の間に形成されたPbx1中のポケット間に形成された接触を通じて起こる。Pbx1ホメオドメインのC末端伸長は、ヘリックス1に対して圧縮してより大きな4ヘリックスのホメオドメインを形成するαヘリックスを形成する(Wolberger et al., Cell 96:587−597(1999); Wolberger et al., J Mol.Biol.291:521−530)。] [0081] 多数のヘテロ二量体受容体も同定されている。多数のヘテロ二量体受容体には、増殖因子(例えば、ヘレギュリン)、神経伝達物質(例えば、γ−アミノ酪酸)及び他の有機又は無機性小分子(例えば、ミネラルコルチコイド、グルココルチコイド)に結合するものが含まれるが、これらに限定されない。現在使用されているヘテロ二量体受容体は、核ホルモン受容体(Belshaw et al., Proc.Natl.Acad.Sci.U.S. A 93:4604−4607(1996))、erbB3及びerbB2受容体複合体並びに受容体のオピオイド(Gomes et al.,J. Neuroscience 20:RC110(2000)); Jordan et al.Nature 399:697−700(1999))、ムスカリン、ドーパミン、セロトニン、アデノシン/ドーパミン及びGABABファミリーなどの(但し、これらに限定されない。)Gタンパク質共役型受容体である。公知のヘテロ二量体受容体の大半は、そのC末端配列がヘテロ二量体形成を媒介することが見出されている。] [0082] L及びH鎖の二量体化に関与している抗体鎖に由来するペプチドは、本ディスプレイ系を構築するためのアダプターとしても使用することができる。これらのペプチドには、L又はH鎖の定常領域配列が含まれるが、これらに限定されない。さらに、アダプターペプチドは、抗原結合部位配列及びその結合抗原に由来し得る。このような事例では、対の一方のアダプターは、対応する抗原残基を含有する他方のアダプターによって認識される(すなわち、安定に会合することができる)抗原結合部位アミノ酸残基を含有する。] [0083] 遺伝子の巨大なファミリーに関する豊富な遺伝学的及び生化学的データに基づいて、当業者は、過度な実験操作なしに、本ディスプレイ系を構築するための適切なアダプターペプチドを選択及び取得することができる。] [0084] 所望される場合、新規ヘテロ多量体タンパク質から得られる配列をアダプターとして使用することができる。このような状況では、ヘテロ多量体の形成に関与する候補ペプチドの同定は、過度の実験操作なしに、あらゆる遺伝学的又は生化学的アッセイによって決定することができる。さらに、コンピュータモデル化及び検索技術は、関連する遺伝子及び無関係の遺伝子中に出現する一般的なドメインの配列相同性に基づいて、ヘテロ多量体ペプチド配列の検出をさらに促進する。相同性検索を可能にするプログラムの非限定的な例は、Blast(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/BLAST/)、Fasta(Genetics Computing Group package, Madison, Wis.)、DNA Star、Clustlaw、TOFFEE、COBLATH、Genthreader及びMegAlignである。標的受容体又はそのセグメントに対応するDNA配列を含有するあらゆる配列データベースを配列分析のために使用することができる。一般的に使用されるデータには、GenBank、EMBL、DDBJ、PDB、SWISS−PROT、EST、STS、GSS及びHTGSが含まれるが、これらに限定されない。] [0085] ヘテロ二量体化配列に由来する本アダプターは、その物理的特性に基づいて、さらに性質決定することができる。現行のヘテロ二量体化配列は、ヘテロ二量体の主要な形成をもたらす、ホモ二量体の実質的な排除への対親和性を示す。好ましくは、主要な形成は、生理的な緩衝液条件及び/又は生理的な体温下での形成を可能にする少なくとも60%のヘテロ二量体、より好ましくは、少なくとも80%のヘテロ二量体、より好ましくは、85から90%のへテロ二量体、より好ましくは90から95%の間のへテロ二量体、さらに好ましくは、96から99%の間のヘテロ二量体を含有するヘテロ多量体プールをもたらす。本発明のある実施形態において、アダプター対のヘテロ二量体化配列の少なくとも1つは、生理的な緩衝液及び/又は生理的な体温中でホモ二量体を実質的に形成することができない。「実質的にできない」とは、単独で検査された場合に、選択したヘテロ二量体化配列が、「Kammerer et al., Biochemistry 38:13263−13269(1999)」に詳述されているインビトロ沈降実験において又はインビボツーハイブリッド酵母分析(例えば、White et a;.,Nature396:679−682(1998))において、ホモ二量体の検出可能な量を生じないことを意味する。さらに、個々のヘテロ二量体化配列は、宿主細胞中で発現させることができ、宿主細胞中のホモ二量体の不存在は、SDS−PAGE、ウェスタンブロット及び免疫沈降などの(但し、これらに限定されない。)様々なタンパク質分析によって示され得る。インビトロアッセイは、生理的な緩衝液条件下で、及び/又は好ましくは生理的体温で実施されなければならない。一般に、生理的な緩衝液は、塩の生理的濃度を含有し、約6.5から約7.8、好ましくは、約7.0から約7.5の範囲の中性pHになるように調整される。] [0086] 上記の物理特性を示すアダプター対の例は、GABAB−R1/GABAB−R2受容体である。これら2つの受容体は、生理的な条件(例えば、インビボ)下で及び生理的な体温で、ホモ二量体を実質的に形成することができない。Kuner他及びWhite他による研究(Science 283:74−77(1999));Nature 396:679−682(1998))は、インビボでのGABAB−R1及びGABAB−R2のヘテロ二量体化特異性を示した。実際に、White他は、このヘテロ二量体受容体対の排他的な特異性に基づいて、GABAB−R2を酵母細胞からクローニングすることができた。上記Kammere他によるインビトロ研究は、GABAB−R1及びGABAB−R2のC末端配列は何れも、生理的な体温でアッセイした場合に、生理的な緩衝液条件でホモ二量体を形成することができないことを示した。具体的には、Kammerer他は、単独で検査した場合に、GABAB受容体1及び2のヘテロ二量体化配列は、生理的な条件下で及び生理的な体温(例えば、37℃)で、単量体の分子量において沈降することを、沈降実験によって示した。等モル濃度の量で混合された場合に、GABAB受容体1及び2へテロ二量体化配列は、2つの配列のヘテロ二量体に対応する分子量において沈降する(Kammerer他の表1参照)。しかしながら、GABAB−R1及びGABAB−R2のC末端配列をシステイン残基に連結すると、ジスルフィド結合の形成を介して、ホモ二量体が生じ得る。] [0087] アダプターは、その二次構造に基づいてさらに特徴付けることができる。本アダプターは、コイルドコイルへリックス構造を採る両親媒性ペプチドからなる。ヘリックスコイルドコイルは、タンパク質中の主なサブユニットオリゴマー化配列の1つである。一次配列分析によって、全てのタンパク質残基の約2から3%がコイルドコイルを形成することが明らかとなっている(Wolf et al., Protein Sci.6:1179−1189(1997))。よく性質決定されたコイルドコイル含有タンパク質には、細胞骨格ファミリー(例えば、α−ケラチン、ビメンチン)、細胞骨格運動ファミリー(例えば、ミオシン、キネシン及びダイネイン)、ウイルス膜タンパク質(例えば、エボラ又はHIVの膜タンパク質)、DNA結合タンパク質及び細胞表面受容体(例えば、GABAB受容体1及び2)の一員が含まれる。本発明のコイルドコイルアダプターは、2つのグループ、すなわち、左巻き及び右巻きのコイルドコイルへ広く分類することができる。左巻きのコイルドコイルは、「abcdefg」と表記される7連リピートを特徴とし、無極性の残基の出現は、第1(a)及び第4(d)位に優先的に位置する。これら2つの位置の残基は、他の鎖の残基と互いに組み合わさって、緊密に適合した疎水性の殻を形成する「ノブと穴」のジグザグパターンを典型的に構成する。これに対して、コイルドコイルの末端を覆う第2(b)、第3(c)及び第6(f)位は、好ましくは、帯電した残基である。帯電したアミノ酸の例には、リジン、アルギニン、ヒスチジンなどの塩基性残基並びにアスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン及びグルタミンなどの酸性残基が含まれる。ヘテロ二量体コイルドコイルを設計するのに適した非帯電又は無極性アミノ酸には、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン及びスレオニンが含まれるが、これらに限定されない。非帯電残基は通例疎水性コアを形成するが、全体的なヘリックスコイルドコイル構造を安定化させるために、コア位置にさえ帯電した残基を含むヘリックス間及びヘリックス内の塩橋を使用し得る(Burkhard et al(2000) J. Biol Chem.275:11672−11677)。コイルドコイルの様々な長さを使用し得るが、本コイルドコイルアダプターは、好ましくは2から10の7連リピートを含有する。より好ましくは、アダプターは、3つから8つの7連リピートを含有し、さらに好ましくは、4つから5つの7連リピートを含有する。] [0088] 最適なコイルドコイルアダプターを設計する際には、ペプチドの二次構造を予想する様々な既存のコンピュータソフトウェアプログラムを使用することができる。コンピュータ分析の実例は、アミノ酸配列を既知の二本鎖コイルドコイルのデータベース中の配列と比較し、高い確率のコイルドコイルの連なりを予想するCOILSアルゴリズムを使用する(Kammerer et al., Biochemistry 38:1326343269(1999))。] [0089] 多量体形成に関与する多様なコイルドコイルを、本ディスプレイ系におけるアダプターとして使用することができる。本コイルドコイルは、ヘテロ二量体受容体に由来する。従って、本発明は、GABAB受容体1及び2に由来するコイルドコイルアダプターを包含する。一態様において、本コイルドコイルアダプターは、GABAB受容体1及びGABAB受容体2のC末端配列を含む。別の態様において、本アダプターは少なくとも30アミノ酸残基の2つの異なるポリペプチドから構成され、そのうち一方は、配列番号13(GR1)に図示されている同等の長さの直鎖配列と実質的に同一であり、他方は、配列番号11(GR2)に図示されている同等の長さの直鎖ペプチド配列と実質的に同一である。] [0090] 本コイルドコイルアダプターの別のクラスは、ロイシンジッパーである。本分野において、ロイシンジッパーは、6つのアミノ酸によって互いに隔てられている4から5個のロイシン残基を含有する約35アミノ酸の連なりとして定義されている(Maniatis and Abel, Nature 341:24(1989))。ロイシンジッパーは、GCN4、C/EBP、c−fos遺伝子産物(Fos)、c−jun遺伝子産物(Jun)及びc−Myc遺伝子産物などの様々な真核生物のDNA結合タンパク質中に存在することが見出されている。これらのタンパク質では、ロイシンジッパーは、ロイシンジッパーを含有するタンパク質が安定なホモ二量体及び/又はへテロ二量体を形成し得る二量体化界面を作出する。2つの原癌遺伝子c−fos及びc−junによってコードされるタンパク質産物の分子的分析は、このような優先的なヘテロ二量体形成の事例を明らかにした(Gentz et al., Science 243:1695(1989); Nakabeppu et al., Cell 55:907(1988); Cohen et al., Genes Dev.3:173(1989))。Fos及びJunのロイシンジッパー領域を含む合成ペプチドは、ヘテロ二量体形成を媒介することも示されており、合成ペプチドのアミノ末端は、それぞれ、分子間ジスルフィド結合を可能にするシステイン残基を含み、ヘテロ二量体の形成は、ホモ二量体化の実質的排除に対して起こる。] [0091] 本発明のロイシンジッパーアダプターは、7連リピート(ロイシン−X1−X2−X3−X4−X5−X6)n(Xは、慣用の20アミノ酸の何れかであり得るが、α−ヘリックス形成能を有するアミノ酸、例えば、アラニン、バリン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びリジンである可能性が最も高く、nは2又はそれ以上であり得るが、典型的には、nは3から10であり、好ましくは、4から8、より好ましくは4から5である。)として知られる一般的な構造式を有する。現在、配列は、Fos又はJunロイシンジッパーである。] [0092] 本明細書において、両配列が実質的なアミノ酸又はヌクレオチド配列の相同性を示せば、ペプチドの直鎖配列は、別の直鎖配列と「実質的に同一」である。一般に、実質的に同一な配列は、相同的領域の並置後、少なくとも約60%互いに同一である。一般に、配列は少なくとも約70%同一であり、より具体的には、配列は少なくとも約80%同一であり、より具体的には、配列は少なくとも約90%同一であり、より具体的には、配列は、少なくとも約95%同一であり、さらに具体的には、配列は100%同一である。] [0093] ポリペプチド配列が実質的に同一であるかどうかを決定する際に、比較されるポリペプチドの機能性を保持する配列が特に好ましい。機能性は、対するアダプターと安定な複合体を形成する能力及びアダプターとインフレームに融合されたポリペプチドのディスプレイを促進する能力などの様々な基準によって確立され得る。] [0094] 本アダプターは、修飾されたロイシンジッパー及び本明細書中に例示されているポリペプチド配列と機能的に等価であるGABABヘテロ二量体化ペプチド配列を含む。特定の実施形態において、対したアダプターに改善された安定性及び/又はディスプレイ効率を与える被修飾ポリペプチドが使用される。被修飾ポリペプチドの例には、アミノ酸残基の保存的置換を有するもの及びヘテロ二量体化特異性を著しく有害に変化させないアミノ酸の1つ又はそれ以上の欠失又は付加を有するものが含まれる。置換は、1つ又はそれ以上のアミノ酸残基を変化又は修飾することから、対相互作用が維持される限りにおいて、領域を完全に再設計することまで多岐にわたり得る。アミノ酸置換が存在する場合、アミノ酸置換は、好ましくは、ペプチドの折り畳み又は機能的特性に対して悪影響を与えない保存的置換である。その中に保存的置換を施すことができる機能的に関連するアミノ酸の群は、グリシン/アラニン;バリン/イソロイシン/ロイシン;アスパラギン/グルタミン;アスパラギン酸/グルタミン酸;セリン/スレオニン/メチオニン;リジン/アルギニン;及びフェニルアラニン/チロシン/トリプトファンである。本発明のポリペプチドは、グリコシル化された又はグリコシル化されていない形態であり得、翻訳後修飾され得(例えば、アセチル化及びリン酸化)、又は合成的に修飾され得る(例えば、標識基の付着)。] [0095] 1つのc−fosジッパーは、LQAETDQLEDEKSALQTEIANLLKEKEKL(配列番号1)である。1つのc−Junジッパーは、LEEKVKTLKAQNSELASTANMLREQVAQL(配列番号2)である。これらのジッパーのより長い形態は、以下のとおりである。c−fos:LTDTLQAETDQLEDEKSALQTEIANLLKEKEKLEFILA(配列番号3)。c−Jun:RIARLEEKVKTLKAQNSELASTANMLREQVAQLKQKVMN(配列番号4)。] [0096] 別のc−Junジッパーも使用され得る。これらのジッパーは、ホモ二量体を形成する低下した能力を有するが、なおc−Fosとヘテロ二量体を形成する(Smeal et al.(1989)Genes & Development 3:2091−2100)。] [0097] 低下したヘテロ二量体化能力を有する幾つかのc−Junジッパーには、以下のものが含まれる。] [0098] LEEKVKTLKAQNSELASTFNMLREQFAQL(配列番号5); LEEKVKTLKAQNSELASTANMLREQVAQF(配列番号6); LEEKVKTFKAQNSELASTANMLREQVAQF(配列番号7); LEEKVKSFKAQNSEHASTANMLREQVAQL(配列番号8)。] [0099] 本発明のアダプター配列は、慣用の組換えクローニング法を用いて、及び/又は化学合成によって得ることができる。十分に確立された制限及び連結技術を用いて、様々なDNA源から適切なアダプター配列を切り出し、それぞれ、発現及びヘルパーベクターを作製するために、外来遺伝子配列及び外側表面配列とインフレームに組み込むことができる。] [0100] 好ましくは、第二のアダプター配列は、得られた外来性融合ポリペプチド上に構造的な妨害が存在する場合、構造的な妨害を最小限に抑えるように、発現ベクター中に挿入される。第一のアダプターは外来性遺伝子配列の5’又は3’に融合させることができるのに対して、図4は、アダプターペプチド配列(すなわち、GABAB受容体1由来のヘテロ二量体化配列)が外来遺伝子配列の3’末端へインフレームに融合されている構築物を図示する。] 図4 [0101] 同様に、第一のアダプターペプチド配列は、細胞表面係留タンパク質の完全性が不確定でない位置において、第二のベクター中に挿入される。アダプター配列は、コード領域を破壊せずに、外側表面配列の5’又は3’に融合することができる。図2は、アダプター配列(すなわち、GABAB受容体2に由来するヘテロ二量体化配列)が細胞表面係留タンパク質SED1の5’末端にインフレームに配置されているベクターを図示する。] [0102] II.宿主細胞 経済的に培養することができ、高い収率を与え、適切に修飾された場合に、適切なグリコシル化を行うことができるので、一般に、酵母などの下等真核生物がタンパク質、特に糖タンパク質の発現のために使用される。特に、酵母は、迅速な形質転換を可能にする確立された遺伝学、検査されたタンパク質局在化戦略及び容易な遺伝子ノックアウト技術を提供する。適切なベクターは、所望に応じて、3−ホスホグリセリン酸キナーゼ又は他の解糖系酵素を含むプロモーター及び複製起点、終結因子などの発現調節配列を有する。] [0103] 本明細書において、本発明は、メチル栄養性酵母ピキア・パストリスを用いて示されているが、他の有用な下等真核生物宿主細胞には、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・フィンランディカ(Pichia finlandica)、ピキア・トレハロフィラ(Pichia trehalophila)、ピキア・コクラマエ(Pichia koclamae)、ピキア・メンブラナエ・ファシエンス(Pichia membranaefaciens)、ピキア・マイヌータ(Pichia minuta)(オガタエア・マイヌータ(Ogataea minuta))、ピキア・リンドネリ(Pichia lindneri))、ピキア・オパンティアエ(Pichia opuntiae)、ピキア・サーモトレランス(Pichia thermotolerans)、ピキア・サリクタリア(Pichia salictaria)、ピキア・グエルキュウム(Pichia guercuum)、ピキア・ピジュペリ(Pichia pijperi)、ピキア・スティプティス(Pichia stiptis)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア種(Pichia sp.)、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス種(Saccharomyces sp.)、ハンセニュラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、クルイベロミセス種(Kluyveromyces sp.)、クルイベロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、アスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリザエ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・リーセイ(Trichoderma reesei)、クリソスポリウム・ラックノウェンス(Chrysosporium lucknowense)、フサリウム種(Fusarium sp.)、フサリウム・グラミネウム(Fusarium gramineum)、フサリウム・ベネナタム(Fusarium venenatum)及びニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)が含まれる。ケイ・ラクティス(K.lactis)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)及びハンセニュラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)などの様々な酵母は、高い細胞密度まで増殖し、組換えタンパク質の多量を分泌することができるので、これらは、細胞培養に特に適している。同様に、アスペルギルス・ニガー、フサリウム種、ニューロスポラ・クラッサ及びその他などの糸状真菌は、産業的規模で本発明の糖タンパク質を産生するために使用することができる。下等真核生物の場合には、捕捉部分の発現を誘導する条件下で、約1.5から3日の間、細胞を定型的に増殖させる。捕捉部分の発現を阻害しながらの免疫グロブリン発現の誘導は、約1から2日間である。その後、目的の免疫グロブリンをディスプレイする細胞に関して、細胞を分析する。] [0104] 下等真核生物、特に、酵母及び糸状真菌は、グリコシル化パターンがヒト様であり又はヒト化されている糖タンパク質を発現するように、遺伝的に修飾することができる。このように、特定の所望される糖型が組成物中で主要である糖タンパク質組成物を作製することができる。これは、US2004/0018590に記載されているように、選択された内在性グリコシル化酵素を除去し、及び/又は宿主細胞を遺伝的に操作し、及び/又は哺乳動物のグリコシル化経路の全部若しくは一部を模倣するための外来性酵素を供給することによって達成することができる。所望であれば、グリコシル化のさらなる遺伝子操作は、糖タンパク質がコアフコシル化あり又はなしに産生され得るように実施することができる。糖タンパク質の主要な糖型が組成物中の糖タンパク質の30モル%を上回って存在し得るように、これらの細胞が糖タンパク質の高度に均質な組成物を産生することができる点で、下等真核生物宿主細胞の使用はさらに有利である。特定の態様において、主要な糖型は、組成物中に存在する糖タンパク質の40モル%、50モル%、60モル%、70モル%、最も好ましくは、80モル%を上回って存在し得る。] [0105] 下等真核生物、特に、酵母は、グリコシル化パターンがヒト様であり又はヒト化されている糖タンパク質を発現するように、遺伝的に修飾することができる。これは、Gerngross他のUS2004/0018590によって記載されているように、選択された内在性グリコシル化酵素を除去することによって、及び/又は外来性酵素を供給することによって達成することができる。例えば、宿主細胞は、その活性が枯渇されなければ糖タンパク質上のN−グリカン上にマンノース残基を付加する1,6−マンノシル転移酵素活性が枯渇されるように選択又は操作することができる。] [0106] 一実施形態において、宿主細胞は、触媒性ドメインと本来会合していない細胞性標的誘導シグナルペプチドに融合され及び宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置にα1,2−マンノシダーゼ活性を標的とするように選択されたα1,2−マンノシダーゼ触媒性ドメインをさらに含む。組換え糖タンパク質が宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置を通過することによって、Man5GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質、例えば、主にMan5GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質組成物が産生される。例えば、米国特許第7,029,872号及び米国特許出願公開2004/0018590号及び2005/0170452号は、Man5GlcNAc2糖型を含む糖タンパク質を産生することができる下等真核生物宿主細胞を開示する。] [0107] さらなる実施形態において、直前の宿主細胞は、触媒性ドメインと本来会合していない細胞性標的誘導シグナルペプチドに融合され及び宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置にGlcNAc転移酵素I活性を標的誘導するように選択されたGlcNAc転移酵素I(GnTI)触媒性ドメインをさらに含む。組換え糖タンパク質が宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置を通過することによって、GlcNAcMan5GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質、例えば、主にGlcNAcMan5GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質組成物が産生される。米国特許第7,029,872号及び米国特許出願公開2004/0018590号及び2005/0170452号は、GlcNAcMan5GlcNAc2糖型を含む糖タンパク質を産生することができる下等真核生物宿主細胞を開示する。Man5GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質を産生するために、上記細胞中で産生された糖タンパク質は、インビトロでヘキサミニダーゼで処理することができる。] [0108] さらなる実施形態において、直前の宿主細胞は、触媒性ドメインと本来会合していない細胞性標的誘導シグナルペプチドに融合され及び宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置にマンノシダーゼII活性を標的化するように選択されたマンノシダーゼII触媒性ドメインをさらに含む。組換え糖タンパク質が宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置を通過することによって、GlcNAcMan3GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質、例えば、主にGlcNAcMan3GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質組成物が産生される。米国特許第7,029,872号及び米国特許出願公開2004/0230042号は、マンノシダーゼII酵素を発現し、及び主にGlcNAc2Man3GlcNAc2糖型を有する糖タンパク質を産生することができる下等真核生物宿主細胞を開示する。Man3GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質を産生するために、上記細胞中で産生された糖タンパク質は、インビトロでヘキサミニダーゼで処理することができる。] [0109] さらなる実施形態において、直前の宿主細胞は、触媒性ドメインと本来会合していない細胞性標的誘導シグナルペプチドに融合され、宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置にGlcNAc転移酵素II活性を標的誘導するように選択されたGlcNAc転移酵素II(GnTII)触媒性ドメインをさらに含む。組換え糖タンパク質が宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置を通過することによって、GlcNAc2Man3GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質、例えば、主にGlcNAc2Man3GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質組成物が産生される。米国特許第7,029,872号及び米国特許出願公開2004/0018590号及び2005/0170452号は、GlcNAc2Man3GlcNAc2糖型を含む糖タンパク質を産生することができる下等真核生物宿主細胞を開示する。Man3GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質を産生するために、上記細胞中で産生された糖タンパク質は、インビトロにおいてヘキサミニダーゼで処理することができる。] [0110] さらなる実施形態において、直前の宿主細胞は、触媒性ドメインと本来会合していない細胞性標的誘導シグナルペプチドに融合され及び宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置にガラクトシル転移酵素活性を標的誘導するように選択されたガラクトシル転移酵素触媒性ドメインをさらに含む。組換え糖タンパク質が宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置を通過することによって、GalGlcNAc2Man3GlcNAc2又はGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質又はこれらの混合物、例えば、主にGalGlcNAc2Man3GlcNAc2糖型又はGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2糖型又はこれらの混合物を含む組換え糖タンパク質組成物が産生される。米国特許第7,029,872号及び米国特許出願公開2006/0040353号は、Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2糖型を含む糖タンパク質を産生することができる下等真核生物宿主細胞を開示する。上記細胞中で産生される糖タンパク質は、GlcNAc2Man3GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質、例えば、GlcNAc2Man3GlcNAc2糖型を主に含む組換え糖タンパク質組成物を産生するために、インビトロにおいて、ガラクトシダーゼで処理することができる。] [0111] さらなる実施形態において、直前の宿主細胞は、触媒性ドメインと本来会合していない細胞性標的誘導シグナルペプチドに融合され及び宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置にシアリル転移酵素(sialytransferase)活性を標的誘導するように選択されたシアリル転移酵素触媒性ドメインをさらに含む。組換え糖タンパク質が宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置を通過することによって、NANA2Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2糖型又はNANAGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2糖型又はこれらの混合物を主に含む組換え糖タンパク質が産生される。酵母及び糸状真菌などの下等真核生物宿主細胞に関しては、宿主細胞はN−グリカンへ転移するためにCMP−シアル酸を与えるための手段をさらに含むことが有用である。米国特許公開2005/0260729号は、CMP−シアル酸合成経路を有するように下等真核生物を遺伝子操作するための方法を開示し、米国特許出願公開2006/0286637号は、シアル化された糖タンパク質を産生するように下等真核生物を遺伝子操作するための方法を開示する。Gal2GlcNAc2Man3GlcNAc2糖型又はGalGlcNAc2Man3GlcNAc2糖型又はこれらの混合物を主に含む組換え糖タンパク質を産生するために、上記細胞中で産生された糖タンパク質は、インビトロにおいてノイラミニダーゼで処理することができる。] [0112] 米国特許出願公開2004/074458号及び2007/0037248号に開示されているような二分岐(GnTIII)及び/又は多重アンテナ状(GnTIV、V、VI及びIX)N−グリカン構造を有する糖タンパク質を作製するために、前述の宿主細胞の何れの1つも、GnTIII、GnTIV、GnTV、GnTVI及びGnTIXからなる群から選択される1つ又はそれ以上のGlcNAc転移酵素をさらに含むことができる。] [0113] さらなる実施形態において、主にGlcNAcMan5GlcNAc2N−グリカンを有する糖タンパク質を産生する宿主細胞は、ガラクトシル転移酵素触媒性ドメインと本来会合していない細胞性標的標的誘導シグナルペプチドに融合され及び宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置にガラクトシル転移酵素活性を標的誘導するように選択されたガラクトシル転移酵素触媒性ドメインをさらに含む。組換え糖タンパク質が宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置を通過することによって、GalGlcNacMan5GlcNAc2糖型を主に含む組換え糖タンパク質が産生される。] [0114] さらなる実施形態において、GalGlcNacMan5GlcNAc2N−グリカンを主に有する糖タンパク質を産生した直前の宿主細胞は、シアリル転移酵素触媒性ドメインと本来会合していない細胞性標的誘導シグナルペプチドに融合され及び宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置にシアリル転移酵素活性を標的化するように選択されたシアリル転移酵素触媒性ドメインをさらに含む。組換え糖タンパク質が宿主細胞の小胞体又はゴルジ装置を通過することによって、NANAGalGlcNAcMan5GlcNAc2糖型を含む組換え糖タンパク質が産生される。] [0115] 様々な前記宿主細胞は、UDP−GlcNAc輸送体(例えば、クルイベロミセス・ラクティス及びムス・ムスキュラス(Mus musculus)UDP−GlcNAc輸送体)、UDP−ガラクトース輸送体(例えば、ドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)UDP−ガラクトース輸送体)及びCMP−シアル酸輸送体(例えば、ヒトシアル酸輸送体)などの1つ又はそれ以上の糖輸送体をさらに含む。酵母及び糸状真菌などの下等真核生物宿主細胞は上記輸送体を欠如しているので、酵母及び糸状真菌などの下等真核生物宿主細胞が上記輸送体を含むように遺伝子操作されていることが好ましい。] [0116] 宿主細胞には、β−マンノシル転移酵素遺伝子(例えば、BMT1、BMT2、BMT3及びBMT4)の1つ又はそれ以上を欠失又は破壊することによって、α−マンノシダーゼ耐性N−グリカンを有する糖タンパク質を(米国特許公開2006/0211085号参照)、及びホスホマンノシル転移酵素遺伝子PNO1及びMNN4Bの一方又は両方を欠失又は破壊することによって(例えば、米国特許第7,198,921号及び同第7,259,007号参照)(さらなる態様において、MNN4A遺伝子を欠失又は破壊することも含み得る。)、ホスホマンノース残基を有する糖タンパク質を削除するように遺伝子操作された下等真核生物細胞(例えば、ピキア・パストリスなどの酵母)がさらに含まれる。破壊には、特定の酵素をコードする読み取り枠を破壊すること、又は読み取り枠の発現を破壊すること、又は干渉RNA、アンチセンスRNAなどを用いて、β−マンノシル転移酵素及び/又はホスホマンノシル転移酵素の1つ若しくはそれ以上をコードするRNAの翻訳を無効にすることが含まれる。宿主細胞には、特定のN−グリカン構造を産生するように修飾された前記宿主細胞の何れか1つがさらに含まれ得る。] [0117] 宿主細胞には、タンパク質O−マンノシル転移酵素(Dol−P−Man:タンパク質(Ser/Thr)マンノシル転移酵素遺伝子(PMT)の1つ若しくはそれ以上を欠失若しくは破壊することによって(米国特許第5,714,377号参照)、又は国際出願公開WO2007061631に開示されているように、Pmtp阻害剤及び/若しくはα−マンノシダーゼの存在下で増殖して、又は両方によって、糖タンパク質のO−グリコシル化を調節するように遺伝子操作されている下等真核生物宿主細胞(例えば、ピキア・パストリスなどの酵母)がさらに含まれる。破壊には、Pmtpをコードする読み取り枠を破壊すること、又は読み取り枠の発現を破壊すること、又は干渉RNA、アンチセンスRNAなどを用いて、Pmtpの1つ若しくはそれ以上をコードするRNAの翻訳を無効にすることが含まれる。宿主細胞には、特定のN−グリカン構造を産生するように修飾された前記宿主細胞の何れか1つがさらに含まれ得る。] [0118] Pmtp阻害剤には、ベンジリデンチアゾリジンジオンが含まれるが、これに限定されない。使用することができるベンジリデンチアゾリジンジオンの例は、5−[[3,4−ビス(フェニルメトキシ)フェニル]メチレン]−4−オキソ−2−チオキソ−3−チアゾリジン酢酸;5−[[3−(1−フェニルエトキシ)−4−(2−フェニルエトキシ)]フェニル]メチレン」−4−オキソ−2−チオキソ−3−チアゾリジン酢酸及び5−[[3−(1−フェニル−2−ヒドロキシ)エトキシ)−4−(2−フェニルエトキシ)]フェニル]メチレン」−4−オキソ−2−チオキソ−3−チアゾリジン酢酸である。] [0119] 特定の実施形態において、少なくとも1つの内在性PMT遺伝子の機能又は発現が低下され、破壊され、又は欠失される。例えば、特定の実施形態において、PMT1、PMT2、PMT3及びPMT4遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの内在性PMT遺伝子の機能若しくは発現が、低下され、破壊され、若しくは欠失され、又は宿主細胞は、1つ若しくはそれ以上のPMT阻害剤の存在下で培養される。さらなる実施形態において、宿主細胞は1つ又はそれ以上のPMT遺伝子の欠失又は破壊を含み、宿主細胞は、1つ又はそれ以上のPmtp阻害剤の存在下で培養される。これらの実施形態の特定の態様において、宿主細胞は分泌されたα−1,2−マンノシダーゼも発現する。] [0120] PMTの欠失若しくは破壊及び/又はPmtp阻害剤は、O−グリコシル化の占有を低下させることによって、すなわち、グリコシル化された糖タンパク質上のO−グリコシル化部位の総数を低下させることによってO−グリコシル化を調節する。細胞によって分泌されるα−1,2−マンノシダーゼ(mannosodase)のさらなる添加は、糖タンパク質上のO−グリカンのマンノース鎖の長さを低下させることによってO−グリコシル化を調節する。従って、PMT欠失若しくは破壊及び/又はPmtp阻害剤を分泌されたα−1,2−マンノシダーゼの発現と組み合わせることは、占有及び鎖長を低下させることによって、O−グリコシル化を調節する。特定の異種の糖タンパク質(例えば、Fab及び抗体)は、効率性の異なる程度で、発現され及びゴルジ装置を通過して輸送され得、従って、PMTの欠失又は破壊、Pmtp阻害剤及びα−1,2−マンノシダーゼの特定の組み合わせを必要とし得るので、特定の状況において、PMTの欠失又は破壊、Pmtp阻害剤及びα−1,2−マンノシダーゼの特定の組み合わせは経験的に決定される。別の態様において、1つ又はそれ以上の内在性マンノシル転移酵素をコードする遺伝子が欠失される。この欠失は、分泌されたα−1,2−マンノシダーゼ及び/若しくはPMT阻害剤の付与と組み合わせることができ、又は分泌されたα−1,2−マンノシダーゼ及び/若しくはPMT阻害剤の付与に代えることができる。] [0121] 従って、O−グリコシル化の調節は、よりよい総収率で又は適切に集合された糖タンパク質の収率で、本明細書に開示されている宿主細胞中で特定の糖タンパク質を産生するのに有用であり得る。完全な抗体及びFab断片は分泌経路を横切り、細胞表面に輸送されるので、O−グリコシル化の低下又は除去は、完全な抗体及びFab断片の集合及び輸送に対して有益な効果を有するように思われる。従って、O−グリコシル化がその中で調節される細胞では、適切に集合された抗体又はFab断片の収率は、O−グリコシル化がその中で調節されていない宿主細胞中で得られる収率を上回って増加する。] [0122] さらに、O−グリコシル化は、抗体又はFab断片の抗原に対する親和性及び/又は結合力に対して効果を有し得る。これは、抗体又はFabを作製するための最終的な宿主細胞が抗体を選択するために選択された宿主細胞と同じでない場合に特に重要であり得る。例えば、O−グリコシル化は、抗原に対する抗体又はFab断片の親和性を妨害し得、従って、O−グリコシル化は抗体又はFab断片が抗原を結合する能力を妨害し得るので、O−グリコシル化がなければ抗原に対して高い親和性を有し得る抗体又はFab断片が同定されない場合があり得る。他の事例では、O−グリコシル化は抗原に対する抗体又はFab断片の結合力を妨害するので、抗原に対して高い結合力を有する抗体又はFab断片が同定されない場合があり得る。前記2つの事例では、抗体又はFab断片を同定及び選択するための宿主細胞は、別の細胞種、例えば、酵母又は真菌細胞(例えば、ピキア・パストリス宿主細胞)のものであったので、哺乳動物細胞株中で産生された場合に特に効果的であり得る抗体又はFab断片が同定されない場合があり得る。酵母中でのO−グリコシル化は、哺乳動物細胞中のO−グリコシル化とは著しく異なり得ることが周知である。野生型酵母のO−グリコシル化を哺乳動物中のムチン型又はジストログリカン型のO−グリコシル化と比較した場合に、このことが特に妥当する。特定の事例において、O−グリコシル化は、抗原に対する抗体又はFab断片の親和性又は結合力を妨害するのではなく、増強させ得る。産生宿主中において、もはや、O−グリコシル化は、抗原に対する増強された親和性又は結合力を引き起こした種類ではないので、産生宿主細胞が抗体又はFab断片を同定及び選択するために使用される宿主細胞と異なる場合に(例えば、同定及び選択が酵母中で行われ、並びに産生宿主は哺乳動物細胞である。)、この効果は望ましくない。従って、O−グリコシル化を調節することによって、宿主細胞のO−グリコシル化系によって影響を受けている抗体又はFab断片を同定及び選択せずに、抗原に対する抗体又はFab断片の親和性又は結合力に基づいて、特定の抗原に対して特異性を有する抗体又はFab断片を同定及び選択するために、本明細書中の材料及び方法を使用することが可能になり得る。従って、O−グリコシル化を調節することは、哺乳動物細胞株中で最終的に産生される抗体又はFab断片を同定及び選択するための酵母又は真菌宿主細胞の有用性をさらに増強する。] [0123] 幾つかの状況において、抗体及びFabの収率は、哺乳動物若しくはヒトシャペロンタンパク質をコードする核酸分子を過剰発現させることによって、又は1つ若しくはそれ以上の哺乳動物若しくはヒトシャペロンタンパク質をコードする核酸分子で、1つ若しくはそれ以上の内在性シャペロンタンパク質をコードする遺伝子を置換することによって改善することができる。さらに、宿主細胞中での哺乳動物又はヒトシャペロンタンパク質の発現は、細胞中でのO−グリコシル化を調節し得る。従って、シャペロンタンパク質をコードする少なくとも1つの内在性遺伝子の機能が低下又は除去されており、及びシャペロンタンパク質の少なくとも1つの哺乳動物又はヒト相同体をコードするベクターが宿主細胞中で発現される本明細書の宿主細胞がさらに含まれる。内在性宿主細胞シャペロン及び哺乳動物又はヒトシャペロンタンパク質がその中で発現されている宿主細胞も含まれる。さらなる態様において、下等真核生物宿主細胞は酵母又は糸状真菌宿主細胞である。収率を改善し、及び組換えタンパク質のO−グリコシル化を低下又は調節するために、ヒトシャペロンタンパク質がその中に導入されている宿主細胞のシャペロンの使用の例は、2008年2月20日に出願された米国仮出願61/066409号及び2008年8月12日に出願された61/188,723号に開示されている。上記と同様に、内在性シャペロンタンパク質の1つ若しくはそれ以上をコードする遺伝子を、1つ若しくはそれ以上の哺乳動物若しくはヒトシャペロンタンパク質をコードする核酸分子で置換すること又は上記の1つ若しくはそれ以上の哺乳動物若しくはヒトシャペロンタンパクを過剰発現することに加えて、タンパク質O−マンノシル転移酵素(PMT)タンパク質をコードする少なくとも1つの内在性遺伝子の機能又は発現が低下され、破壊され又は欠失されている下等真核生物宿主細胞がさらに含まれる。特定の実施形態において、PMT1、PMT2、PMT3及びPMT4遺伝子からなる群から選択される少なくとも1つの内在性PMT遺伝子の機能が低下され、破壊され、又は欠失される。] [0124] 従って、本明細書に開示されている方法は、主なN−グリカンが複合N−グリカン、ハイブリッドN−グリカン及び高マンノースN−グリカンからなる群から選択され、複合N−グリカンがMan3GlcNAc2、GlcNAc(1−4)Man3GlcNAc2、Gal(1−4)GlcNAc(1−4)Man3GlcNAc2及びNANA(1−4)Gal(1−4)Man3GlcNAc2からなる群から選択され;ハイブリッドN−グリカンがGlcNAcMan5GlcNAc2、GalGlcNAcMan5GlcNAc2及びNANAGalGlcNAcMan5GlcNAc2からなる群から選択され;並びに高マンノースN−グリカンがMan5GlcNAc2、Man6GlcNAc2、Man7GlcNAc2、Man8GlcNAc2及びMan9GlcNAc2からなる群から選択される、N−グリカン組成を持たない糖タンパク質を産生するように遺伝的に修飾されたあらゆる宿主細胞を使用し得る。特定の態様において、N−グリカンの組成は、約39%のGlcNAc2Man3GlcNAc2;40%のGal1GlcNAc2Man3GlcNAc2;及び6%のGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2又は約60%のGlcNAc2Man3GlcNAc2;17%のGal1GlcNAc2Man3GlcNAc2及び5%のGal2GlcNAc2Man3GlcNAc2又はこの間の混合物を含む。] [0125] 酵母細胞が1,6−マンノシル転移酵素活性をディスプレイしない(すなわち、och1pをコードするOCH1遺伝子が破壊若しくは欠失され、又はOch1pの活性が無能力化されている。)上記実施形態では、宿主細胞は接合することができない。従って、形質転換の効率に応じて、軽鎖及び重鎖の潜在的なライブラリー多様性は、約103から106の間の多様性の重鎖ライブラリー及び約103から106の多様性の軽鎖ライブラリーに限定されるように見受けられる。しかしながら、重鎖/軽鎖ライブラリーを発現する宿主細胞を作製するために、重鎖ライブラリーを発現する宿主細胞を、軽鎖ライブラリーを発現する宿主細胞に接合させることができるので、接合することができる酵母宿主細胞では、多様性は約106から1012まで増加させ得る。従って、特定の実施形態において、宿主細胞は、1,6−マンノシル転移酵素活性をディスプレイする(すなわち、機能的なoch1pをコードするOCH1遺伝子を有する)が、細胞表面上に抗体又はその断片をディスプレイするために、本明細書に記載されているように修飾されているピキア・パストリスなどの酵母細胞である。これらの実施形態において、宿主細胞は、その固有のグリコシル化経路を有する宿主細胞であり得る。] [0126] 完全な抗体又は抗体重鎖のFc領域(例えば、Fab断片)を発現する実施形態において、抗体又はその重鎖断片をコードする核酸分子は、分子の297位のアスパラギン残基(グリコシル化部位)をコードするコドンを何れかの他のアミノ酸残基をコードするコドンで置換するために修飾されている。一般的な置換には、アラニン、グルタミン及びアスパラギン酸が含まれるが、これらに限定されない。従って、宿主細胞中で産生される抗体又はその断片は、アスパラギン−297位でグリコシル化されていない。この実施形態において、重鎖ライブラリーをディスプレイする宿主細胞は軽鎖ライブラリーをディスプレイする宿主細胞に接合され、得られたコンビナトリアルライブラリーは、本明細書に教示されているようにスクリーニングされる。前記抗体又はその断片はアスパラギン−297のN−グリコシル化を欠如しているので、所望の抗原に対する抗体親和性を妨害し得るアスパラギン−297に連結された宿主細胞の非ヒト酵母N−グリカンは、組換え抗体又はその断片上に存在しない。目的の抗原に対して所望の親和性を有する抗体又は断片を産生する細胞が選択される。抗体又はその断片の重鎖及び軽鎖をコードする核酸分子が細胞から除去され、297位のアスパラギン残基を再導入するために、重鎖をコードする核酸分子が修飾される。これによって、ヒト様N−グリカン(例えば、先述されているように、高マンノース、ハイブリッド又は複合N−グリカン)を有する糖タンパク質を作製するように操作された哺乳動物細胞株(例えば、CHOなど)又は下等真核生物(例えば、ピキア・パストリス)宿主細胞中に、抗体又はその断片をコードする核酸分子が導入されたときに、抗体又はその断片の297位での適切なヒト様グリコシル化が可能になる。] [0127] 一般に、本発明を実施するために使用される宿主細胞は下等真核生物宿主細胞(例えば、酵母又は糸状真菌細胞)であるが、本明細書中の方法は高等真核生物細胞を使用するように適宜改変できることが想定される。従って、特定の実施形態において、免疫グロブリンの組換え発現及びディスプレイに対して使用される細胞系は、あらゆる高等真核生物細胞、組織、動物界からの生物、例えば、トランスジェニックヤギ、トランスジェニックウサギ、CHO細胞、昆虫細胞及びヒト細胞株でもあり得る。動物細胞の例には、SC−I細胞、LLC−MK細胞、CV−I細胞、CHO細胞、COS細胞、マウス細胞、ヒト細胞、HeLa細胞、293細胞、VERO細胞、MDBK細胞、MDCK細胞、MDOK細胞、CRFK細胞、RAF細胞、TCMK細胞、LLC−PK細胞、PK15細胞、WI−38細胞、MRC−5細胞、T−FLY細胞、BHK細胞、SP2/0、NSO細胞及びこれらの誘導物が含まれるが、これらに限定されない。昆虫細胞には、ドロソフィラ・メラノガスター起源の細胞が含まれる。さらに、これらの細胞は、細胞が特定のN−グリカン又は主に特定のN−グリカンを有する免疫グロブリンを作製できるように遺伝子操作され得る。例えば、米国特許第6,949,372号は、昆虫細胞中でシアル化された糖タンパク質を作製する方法を開示する。Yamane−Ohnuki et al.Biotechnol.Bioeng.87:614−622(2004),Kanda et al., Biotechnol.Bioeng.94:680−688(2006), Kanda et al, Glycobiol.17:104−118(2006)並びに米国特許出願公開2005/0216958号及び同2007/0020260号は、その上のN−グリカンがフコースを欠如し、又は低下したフコースを有する免疫グロブリンを産生することができる哺乳動物細胞を開示する。]
权利要求:
請求項1 下等真核生物宿主細胞表面上へのディスプレイ可能性に関してタンパク質を選択する方法であって、(a)第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する宿主細胞を準備すること;(b)前記細胞表面係留タンパク質に融合された前記第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分に融合されたタンパク質をコードする核酸で前記宿主細胞を形質転換すること(タンパク質の変異体の多様化された集団をコードする宿主細胞の複数を作製するために、突然変異誘発が使用される。);(c)前記宿主細胞の前記表面上にディスプレイされているタンパク質へ特異的に結合し及び前記宿主細胞の前記表面上にディスプレイされていないタンパク質に結合しない検出手段と前記宿主細胞の複数を接触させること;並びに(d)前記検出手段が結合している宿主細胞を単離すること(前記宿主細胞の前記表面上のタンパク質に結合された前記検出手段の存在は、前記タンパク質が下等真核生物細胞表面上にディスプレイ可能であることを示唆する。);を含む、方法。 請求項2 第一の結合部分が第一のアダプターペプチドであり、及び第二の結合部分が第二のアダプターペプチドであり、第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用をすることができる、請求項1の方法。 請求項3 第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用可能なコイルドコイルペプチドである、請求項2の方法。 請求項4 コイルドコイルペプチドが特異的な対相互作用可能なGABAB−R1及びGABAB−2R2サブユニットである、請求項3の方法。 請求項5 細胞表面係留タンパク質がGPIタンパク質である、請求項1の方法。 請求項6 細胞表面係留タンパク質がα−アグルチニン、CWp1p、Cwp2p、Gas1p、Yap3p、Flo1p、Crh2p、Pir1p、Pir4p、Sed1p、Tip1p、Wpip、Hpwp1p、Als3p及びRbt5pからなる群から選択される、請求項6の方法。 請求項7 細胞表面係留タンパク質がSed1pである、請求項1の方法。 請求項8 下等真核生物が酵母である、請求項1の方法。 請求項9 酵母がピキア・パストリスである、請求項8の方法。 請求項10 タンパク質が抗体である、請求項1の方法。 請求項11 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が恒常的である、請求項1の方法。 請求項12 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が同時に誘導される、請求項1の方法。 請求項13 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が逐次に誘導される、請求項1の方法。 請求項14 宿主細胞の表面上に所望のタンパク質をディスプレイする組換え下等真核生物宿主細胞を選択する方法であって、(a)第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する宿主細胞を準備すること;(b)少なくとも1つの宿主細胞が細胞表面上に所望のタンパク質をディスプレイしていると考えられる宿主細胞の複数を作製するために、細胞表面係留タンパク質に融合された第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分にそれぞれ融合されているタンパク質をコードする核酸によって宿主細胞を形質転換すること;(c)細胞表面上にディスプレイされた所望のタンパク質に特異的に結合する検出手段と形質転換された宿主細胞を接触させること;並びに(d)所望のタンパク質をディスプレイする宿主細胞を選択するために、検出手段が結合されている宿主細胞を単離すること;を含む、方法。 請求項15 第一の結合部分が第一のアダプターペプチドであり、及び第二の結合部分が第二のアダプターペプチドであり、第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用をすることができる、請求項14の方法。 請求項16 第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用可能なコイルドコイルペプチドである、請求項15の方法。 請求項17 コイルドコイルペプチドが特異的な対相互作用を行うことができるGABAB−R1及びGABAB−2R2サブユニットである、請求項16の方法。 請求項18 細胞表面係留タンパク質がGPIタンパク質である、請求項14の方法。 請求項19 細胞表面係留タンパク質がα−アグルチニン、CWp1p、Cwp2p、Gas1p、Yap3p、Flo1p、Crh2p、Pir1p、Pir4p、Sed1p、Tip1p、Wpip、Hpwp1p、Als3p及びRbt5pからなる群から選択される、請求項14の方法。 請求項20 細胞表面係留タンパク質がSed1pである、請求項14の方法。 請求項21 下等真核生物が酵母である、請求項14の方法。 請求項22 酵母がピキア・パストリスである、請求項21の方法。 請求項23 所望のタンパク質が抗体又はその断片である、請求項14の方法。 請求項24 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が恒常的である、請求項14の方法。 請求項25 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が同時に誘導される、請求項14の方法。 請求項26 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が逐次に誘導される、請求項14の方法。 請求項27 抗体を産生する方法であって、(a)第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する宿主細胞を準備すること;(b)抗体の前記重鎖及び軽鎖をコードする核酸で宿主細胞を形質転換すること(重鎖は前記細胞表面係留タンパク質に融合された前記第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分に融合されおり、抗体の変異体の変化を受けた集団をコードする宿主細胞の複数を作製するために、突然変異誘発が使用される。);(c)前記宿主細胞の前記表面上にディスプレイされている抗体へ特異的に結合し、及び前記宿主細胞の前記表面上にディスプレイされていない抗体に結合しない検出手段と前記宿主細胞の複数を接触させること;並びに(d)前記検出手段が結合されている宿主細胞を単離すること(前記宿主細胞の前記表面上の抗体に結合された前記検出手段の存在は、前記宿主細胞が抗体を産生することを示唆する。);を含む、方法。 請求項28 第一の結合部分が第一のアダプターペプチドであり、及び第二の結合部分が第二のアダプターペプチドであり、第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用をすることができる、請求項27の方法。 請求項29 第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用可能なコイルドコイルペプチドである、請求項28の方法。 請求項30 コイルドコイルペプチドが特異的な対相互作用をすることができるGABAB−R1及びGABAB−2R2サブユニットである、請求項29の方法。 請求項31 細胞表面係留タンパク質がGPIタンパク質である、請求項27の方法。 請求項32 細胞表面係留タンパク質がα−アグルチニン、CWp1p、Cwp2p、Gas1p、Yap3p、Flo1p、Crh2p、Pir1p、Pir4p、Sed1p、Tip1p、Wpip、Hpwp1p、Als3p及びRbt5pからなる群から選択される、請求項27の方法。 請求項33 細胞表面係留タンパク質がSed1pである、請求項27の方法。 請求項34 下等真核生物が酵母である、請求項27の方法。 請求項35 酵母がピキア・パストリスである、請求項37の方法。 請求項36 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が恒常的である、請求項27の方法。 請求項37 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が同時に誘導される、請求項27の方法。 請求項38 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が逐次に誘導される、請求項27の方法。 請求項39 宿主細胞の表面上に所望の抗体をディスプレイする組換え下等真核生物宿主細胞を選択する方法であって、(a)第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する宿主細胞を準備すること;(b)少なくとも1つの宿主細胞が細胞表面上に所望のタンパク質をディスプレイしていると考えられる宿主細胞の複数を作製するために、抗体の前記重鎖及び軽鎖をコードする核酸で宿主細胞を形質転換すること(重鎖は前記細胞表面係留タンパク質に融合された前記第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分に融合されている。);(c)細胞表面上にディスプレイされた所望の抗体に特異的に結合する検出手段と形質転換された宿主細胞を接触させること;並びに(d)所望の抗体をディスプレイする宿主細胞を選択するために、検出手段が結合されている宿主細胞を単離すること;を含む、方法。 請求項40 第一の結合部分が第一のアダプターペプチドであり、及び第二の結合部分が第二のアダプターペプチドであり、第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用をすることができる、請求項39の方法。 請求項41 第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用可能なコイルドコイルペプチドである、請求項40の方法。 請求項42 コイルドコイルペプチドが特異的な対相互作用をすることができるGABAB−R1及びGABAB−2R2サブユニットである、請求項41の方法。 請求項43 細胞表面係留タンパク質がGPIタンパク質である、請求項39の方法。 請求項44 細胞表面係留タンパク質がα−アグルチニン、Cwp1p、Cwp2p、Gas1p、Yap3p、Flo1p、Crh2p、Pir1p、Pir4p、Sed1p、Tip1p、Wpip、Hpwp1p、Als3p及びRbt5pからなる群から選択される、請求項39の方法。 請求項45 細胞表面係留タンパク質がSed1pである、請求項39の方法。 請求項46 下等真核生物が酵母である、請求項39の方法。 請求項47 酵母がピキア・パストリスである、請求項46の方法。 請求項48 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が恒常的である、請求項39の方法。 請求項49 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が同時に誘導される、請求項39の方法。 請求項50 捕捉部分及びタンパク質の変異体をコードする核酸の発現が逐次に誘導される、請求項39の方法。 請求項51 特異的結合対の一員(該特異的結合対の一員は、抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含み、及び目的の抗原に対して結合特異性を有する抗原結合部位を有する抗体又は抗体断片である。)を作製する方法であって、(a)その表面上に特異的な結合対の一員をディスプレイしている下等真核生物宿主細胞のライブラリーを準備すること、(特異的な結合対の一員は合成ヒト抗体VHドメイン及びヒト抗体VLドメインを含む抗体又は抗体断片であり、(前記ライブラリーは、(i)第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する下等真核生物宿主細胞を準備すること;(ii)特異的結合対の一員の遺伝的に多様な集団をコードする核酸配列のライブラリーを準備すること(前記特異的結合対の一員の前記遺伝的に多様な集団のVHドメインは1つ又はそれ以上のVH遺伝子ファミリーに対して偏っており、及び前記特異的結合対の一員は前記細胞表面係留タンパク質に融合された第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分を含む。);(iii)前記下等真核生物宿主細胞中で核酸配列の前記ライブラリーを発現させること(各特異的結合対の一員は下等真核生物宿主細胞の前記表面にディスプレイされている。);によって作製される。);(b)1つ又はそれ以上の特異的結合対の一員を目的の抗原と結合させることによって、目的の抗原に対して結合特異性を有する1つ又はそれ以上の特異的結合対の一員を選択すること(このようにして選択された各特異的結合対の一員は下等真核生物宿主細胞上にディスプレイされている。);を含む、方法。 請求項52 特異的結合対要素の一員が合成ヒト抗体VHドメイン及び合成ヒト抗体VLドメインを含み、並びに合成ヒト抗体VHドメイン及び合成ヒト抗体VLドメインがフレームワーク領域及び超可変ループを含み、フレームワーク領域並びにVHドメイン及びVLドメインの両方の最初の2つの超可変ループが実質的にヒト生殖系列であり、並びにVHドメイン及びVLドメインが変化されたCDR3ループを有する、請求項51の方法。 請求項53 変化されたCDR3ループを有することに加えて、ヒト合成抗体VH及びVLドメインが他のCDRループ中に変異を含有する、請求項52の方法。 請求項54 各ヒト合成抗体VHドメインCDRループが無作為配列のものである、請求項51の方法。 請求項55 ヒト合成抗体VHドメインCDRループが公知の標準構造のものであり、及び無作為配列要素を取り込む、請求項51の方法。 請求項56 ディスプレイされた特異的結合対の一員が一本鎖Fv抗体断片を含む、請求項51の方法。 請求項57 ディスプレイされた特異的結合対の一員が抗体を含む、請求項51の方法。 請求項58 第一の結合部分が第一のアダプターペプチドであり、及び第二の結合部分が第二のアダプターペプチドであり、第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用をすることができる、請求項51の方法。 請求項59 第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用可能なコイルドコイルペプチドである、請求項58の方法。 請求項60 コイルドコイルペプチドが特異的な対相互作用をすることができるGABAB−R1及びGABAB−2R2サブユニットである、請求項59の方法。 請求項61 細胞表面係留タンパク質がGPIタンパク質である、請求項51の方法。 請求項62 細胞表面係留タンパク質がα−アグルチニン、Cwp1p、Cwp2p、Gas1p、Yap3p、Flo1p、Crh2p、Pir1p、Pir4p、Sed1p、Tip1p、Wpip、Hpwp1p、Als3p及びRbt5pからなる群から選択される、請求項61の方法。 請求項63 細胞表面係留タンパク質がSed1pである、請求項51の方法。 請求項64 下等真核生物が酵母である、請求項51の方法。 請求項65 酵母がピキア・パストリスである、請求項64の方法。 請求項66 抗体VHドメイン及び抗体VLドメインを含み、並びに目的の抗原に対して結合特異性を有する抗原結合部位を有する抗体又は抗体断片を作製する方法であって、(a)合成ヒト抗体VHドメイン及びヒト抗体VLドメインを含む抗体又は抗体断片をその表面上にディスプレイする下等真核生物宿主細胞のライブラリーを準備すること(該ライブラリーは、(i)第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分を発現する下等真核生物宿主細胞を準備すること;(ii)抗体又は抗体断片の遺伝的に多様な集団をコードする核酸配列のライブラリーを準備すること(前記抗体又は抗体断片の前記遺伝的に多様な集団のVHドメインは1つ又はそれ以上のVH遺伝子ファミリーに対して偏っており、及び前記抗体又は抗体断片は前記細胞表面係留タンパク質に融合された第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分を含む。);(iii)前記下等真核生物宿主細胞中で核酸配列の前記ライブラリーを発現させること(各抗体又は抗体断片は下等真核生物宿主細胞の前記表面にディスプレイされている。);(b)1つ又はそれ以上の抗体又は抗体断片を目的の抗原と結合させることによって、目的の抗原に対して結合特異性を有する1つ又はそれ以上の抗体又は抗体断片を選択すること(このようにして選択された各抗体又は抗体断片は下等真核生物宿主細胞上にディスプレイされている。);を含む、方法。 請求項67 抗体又は抗体断片が合成ヒト抗体VHドメイン及び合成ヒト抗体VLドメインを含み、並びに合成ヒト抗体VHドメイン及び合成ヒト抗体VLドメインがフレームワーク領域及び超可変ループを含み、フレームワーク領域並びにVHドメイン及びVLドメインの両方の最初の2つの超可変ループが実質的にヒト生殖系列であり、並びにVHドメイン及びVLドメインが変化されたCDR3ループを有する、請求項66の方法。 請求項68 変化されたCDR3ループを有することに加えて、ヒト合成抗体VH及びVLドメインが他のCDRループ中に変異を含有する、請求項67の方法。 請求項69 各ヒト合成抗体VHドメインCDRループが無作為配列のものである、請求項66の方法。 請求項70 ヒト合成抗体VHドメインCDRループが公知の標準構造のものであり、及び無作為配列要素を取り込む、請求項66の方法。 請求項71 第一の結合部分が第一のアダプターペプチドであり、並びに第二の結合部分が第二のアダプターペプチドであり、並びに第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用を行うことができる、請求項66の方法。 請求項72 第一及び第二のアダプターペプチドが特異的な対相互作用可能なコイルドコイルペプチドである、請求項71の方法。 請求項73 コイルドコイルペプチドが特異的な対相互作用をすることができるGABAB−R1及びGABAB−2R2サブユニットである、請求項72の方法。 請求項74 細胞表面係留タンパク質がGPIタンパク質である、請求項66の方法。 請求項75 細胞表面係留タンパク質がα−アグルチニン、Cwp1p、Cwp2p、Gas1p、Yap3p、Flo1p、Crh2p、Pir1p、Pir4p、Sed1p、Tip1p、Wpip、Hpwp1p、Als3p及びRbt5pからなる群から選択される、請求項74の方法。 請求項76 細胞表面係留タンパク質がSed1pである、請求項66の方法。 請求項77 下等真核生物が酵母である、請求項66の方法。 請求項78 酵母がピキア・パストリスである、請求項77の方法。 請求項79 結合部分を含むポリペプチドのN末端へ、そのC末端が融合された所望のタンパク質を含む融合タンパク質をコードする核酸(該核酸は、前記所望のタンパク質をコードするヌクレオチド配列と前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の間に単一の停止コドンを含む。)を含むベクター。 請求項80 所望のタンパク質が抗体の重鎖である、請求項79に記載のベクター。 請求項81 請求項27の方法によって作製された抗体。 請求項82 請求項39の方法によって作製された抗体。 請求項83 請求項51の方法によって作製された抗体。 請求項84 請求項66の方法によって作製された抗体。 請求項85 第一の結合部分に融合された細胞表面係留タンパク質を含む捕捉部分をコードする核酸並びに抗体の重鎖及び軽鎖をコードする核酸を含む下等真核生物宿主細胞(前記重鎖は、細胞表面係留タンパク質に融合された第一の結合部分と特異的に相互作用することができる第二の結合部分に融合されている。)。
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